
「体のコゲ」が病気や老化の原因だった?
私たちの体は髪も皮膚も筋肉もたんぱく質でできています。そのたんぱく質が年齢とともに劣化することが、老化や病気の原因になると言われています。たんぱく質の劣化の二大原因は、「酸化」と「糖化」です。今回は「糖化」について探ってみました。
老化や病気の原因のAGEとは?
糖化は、糖とたんぱく質がくっついた現象です。結合した当初は、たんぱく質は元の状態に戻ることができますが、周囲に糖がたくさんあると結合した状態が長く続き、たんぱく質が変質して戻らなくなり、「AGE(Advanced Glycation End Products、終末糖化産物)」という物質になります。
AGEは体内でも作られますし、食事や喫煙によって外からも取り込まれます。体内のAGEのおおよそ3分の1が体外由来、3分の2は体内で作られたものです。我々の皮膚や筋肉、あらゆるところにたんぱく質があり、糖とたんぱく質が結びつくことでAGEが発生します。皮膚のコラーゲンがAGE化すると、弾力性が無くなり、シワやたるみの原因になります。タンパク質と糖が加熱されてできるため「体のコゲ」とも呼ばれています。
例えば、ホットケーキをイメージしてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして加熱すると、ホットケーキが焼けます。表面のこんがりキツネ色になっている部分が「糖化」した部分で、ここにAGE(コゲ)が発生しているのです。
死亡リスクも高めるAGEの危険性
AGEは老化を進める原因物質とされていて、肌や骨、血管の老化が進み、シミやシワの表面的な老化だけではなく、血管の組織を糖化によってもろくさせると考えられています。その影響によって、血管壁に炎症が起こりやすくなって、動脈硬化のリスクが高まり、動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳梗塞を発症することもあります。さらにAGEが骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障の一因になり、全身の健康に影響を及ぼす危険があります。
オランダのグロニゲン大学の研究チームが住民7万2880人について4年間追跡した調査では、体内にAGEの量が多い人ほど糖尿病や心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患になる頻度が高く、死亡するリスクが高いことがわかりました。
出典:医学誌「Diabetologia」の「Skin autofluorescence predicts incident type 2 diabetes, cardiovascular disease and mortality in the general population」
まずは、「焼き目のついた食品はAGEが多い」ことを目安にしてください。このほか、トンカツや唐揚げ、ステーキなど、揚げたり焼いたりした動物性脂肪食品には特にAGEが多く含まれます。また、ポテトチップスやフライドポテトにもAGEが非常に多いため、頻繁に食べるのは控える方が望ましいでしょう。
さらに甘味料にも注意が必要です。ジュースや炭酸飲料、お菓子などに使用される甘味料は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEをつくるため、摂取しすぎないようにしましょう。成分表示に「果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」などと書かれている食品がそれに当たります。
いったん体内にたまったAGEは、多少は分解されて尿から排出されますが、非常に長い時間がかかります。たとえば、毎日タバコを約8年間20本吸っていた人が禁煙し、AGEの量が喫煙前に戻るのには、15年かかることが約3000人の調査で分かっています。そのため、なるべくAGEをためないような生活を送るのが望ましい。そうすることで、老化のスピードを遅らせ、健康寿命を長くすることができると言えます。
次回はAGEをためないような食生活をご紹介します。気になる症状のある方、食生活に不安のある方は、ヨクミルで相談してください。



