初めての海外は不安がいっぱい…?!中国生活のはじめ方

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中国で暮らすための気候や地域性などの基本情報から医療事情、病気や怪我したときの注意事項などを紹介しています。

中国の基本情報

日本最大の貿易国で、日本企業の海外拠点数もNo.1

中国は、日本のおよそ約960万平方キロメートル(日本の約26倍)の国土を有し、人口は約14億人。主要都市は、北京、上海、広州、青島、大連、南京、西安などがあり、気候も地域により様々です。公用語は中国語で、宗教は、仏教・イスラム教・キリスト教などです。
在留邦人数は、107,715名(2021年10月1日現在・外務省海外在留邦人数調査統計)。日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、日系企業の海外拠点数で中国は第1位であるなど、日中経済関係は一層緊密になっており、日中首脳間でも両国間の経済・国民交流を後押ししていくことで一致しています。日本側から中国側に対しては、特に知的財産の保護、産業補助金や強制技術移転、サイバー・データ関連規定、輸出管理法を含め、日本企業の正当なビジネス活動や公平な競争条件の確保につき中国側に提起してきているほか、日本産食品に対する輸入規制措置の撤廃を改めて強く求めています。
首都の北京市だけでも、日本の四国4県分の面積に相当し、緯度は秋田県や岩手県と同等です。冬の寒さは厳しく、
12月から2月の平均気温は0度を下回り、寒い日の最低気温はマイナス10度以下になります。雪はほとんど降りませんが、極度の乾燥のため肌や喉が弱い方にはトラブルを起こしやすい季節ともいえます。その一方、7月から8月にかけては雨が多く、蒸し暑い日が続きます。

主要産業とコロナによる経済への影響

中国は、労働集約・外需主導型産業がけん引する「世界の工場」として第二次産業を中心に発展してきましたが、2012年に第三次産業の比率が第二次産業の比率を逆転しました。2015年に第三次産業の比率は50%を超え、現在は、第一次産業(名目GDPの7.3%)、第二次産業(同39.4%)、第三次産業(同53.3%)になっています(2021年国家統計局)。

2021年通年の実質GDP成長率は前年比8.1%増となり、同年の目標値である前年比6%増以上を達成。2021年上半期の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年からの反動もあり、前年同期比12.7%増と大きく経済の回復が進みました。

一方、2021年下半期に入ると、石炭などの原材料価格の上昇や半導体不足、一部地域での洪水、新型コロナウイルス変異株の感染拡大に加え、中国各地での電力制限や不動産市場の混乱など、成長の下押し圧力に直面し上半期と比較して経済成長は減速しました。

2022年3月初めに開催された全国人民代表大会では、2022年は第20回党大会の開催を控え、非常に重要な1年と位置付け、また、2021年の実質GDP成長率目標を5.5%前後に設定しました。しかし、3月中旬以降、オミクロン株による市中感染の再拡大を受け、中国各地で厳しい防疫措置が実施され、経済活動への影響が深刻化しました。これを受け、中国政府は、今後も感染症の発生を速やかに抑え込むとの現行の防疫政策を堅持する方針を示すとともに、経済安定化に向けた措置を打ち出しています。

 

[参考]Data Commonsプレイス エクスプローラ

北京の医療・衛生事情

食への安全意識が高まっているものの十分な水洗いと火を通す注意が必要

日本でもしばしば報道される北京周辺の大気汚染ですが、政府の対策もあってここ数年は改善傾向にあります。大気汚染が疑われる日は、スマートフォンのアプリなどで大気質指数(AQI)をチェックし外出することをお勧めいたします。

北京市内の水道水は、水質検査の結果では飲水可能とされますが、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水のため、慣れるまで軟便になりがちです。飲用にはミネラルウォーターを使用し、水道水を利用する場合は煮沸することをお勧めします。

北京市内の水道水は、水質検査の結果では飲水可能とされますが、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水のため、慣れるまで軟便になりがちです。飲用にはミネラルウォーターを使用し、水道水を利用する場合は煮沸することをお勧めいたします。
食器の洗浄、洗面、歯磨き、洗濯等に水道水を使用するのは問題ありません。食品については、中国でも食への安全意識が高まり、添加物等有毒物質対策も強化され、有機栽培商品なども多く出回っています。野菜や果物は使用前に水洗いし、肉・魚・卵は十分に火を通してください。


北京には、外国人専用外来を持つ中国系総合病院や、英語や日本語で先進国と同様の医療が受けられる外資系クリニックがあり、その医療レベルも経済成長と共に進歩していますが、医療費は日本と比べてもかなり高額になります。外資系医療機関では、感冒や胃腸炎などでも1,000元(およそ16,000円)以上かかる上、レントゲンや採血、超音波などの検査により医師の収入が増加するシステムのため、高額になりがちです。
ただし、多くの医療機関は海外旅行傷害保険が使用できますので、万が一に備え十分な保障を備えた保険への加入をお勧めします。一方、地方都市では外資系医療機関は少なく、英語や日本語が通じる医療機関は限られます

出産については、北京市内の外資系病院では十分な医療設備が整っていますので、安全な出産が可能です。しかし、当地の慣習や医療スタッフの知識が我が国と大きく違うこともあり、日本人にとって安心できる出産環境とはまだまだ言い難いのが現状です。

かかりやすい病気・怪我

 

(1)下痢症

北京で生活すると、便が緩くなったり、時には下痢が続くことがあります。吐き気や嘔吐、腹痛や発熱を伴わない場合は、硬度の高い水や中華料理に多く使用される油の違いによるものと考えられます。
北京の衛生状況は近年急速に改善しているため、道端の露店で販売されるカットフルーツや鉄板焼きなどを別にすれば、市販のものは衛生的に問題ありません。日本同様にウイルスや細菌性の胃腸炎も時に見られますが、ほとんどの場合で水分補給、整腸剤で自然に改善します。水分摂取が難しい小児や高齢者については、脱水が進行しやすいため、下痢が続く場合は医療機関を受診する必要があります。

(2)大気汚染(呼吸器症状)

多くの邦人にとって中国での生活で最も懸念されるのは、大気汚染の問題です。日本でもよく耳にするPM2.5とは、Particulate Matter(微小粒子状物質)のうち粒子径が2.5μm以下のものの総称です。1950年代のロンドンや高度成長期の日本でも大気汚染物質による健康被害は発生しており、新しい問題ではありません。
北京市の2019年のPM2.5年間平均濃度は、2014年と比べ50%低下しました。2013年に中国政府は、大気汚染防止行動計画「大気十条」を発表し、車の台数制限や工場の操業停止、暖房に用いる化石燃料の使用を禁止するなどの対策で、徐々に大気汚染は改善傾向にありますが、引き続き警戒が必要です。
対策として、長時間過ごす室内環境の改善には空気清浄機が有効です。また、毎時間ごとに公的に発表される大気質指数(AQI)をチェックし、指数が高い時間帯は、外出や屋外での運動を控え、外出する場合には、濾過性能の高いマスクを着用するなどの予防策が重要です。

(3)交通事故

北京市内は交通渋滞が常態化しており、車、バイク(電動含む)、自転車、歩行者に加え、オート三輪など様々な乗り物が往来しています。中国は右側通行で、車は常時右折できるため注意が必要です。また直進優先が一般的でないため、左折車が突然目の前を横切り、歩行者がいる横断歩道上でも、わずかな隙間を通り抜けようとします。
携帯を操作しながらやイヤホンをつけての運転も多く、接触事故は頻繁に見られます。自身が安全に走行することはもちろんですが、電動バイクなどは音もなく、猛スピードで追い抜くため、周りの交通状況を確認することが重要です。自分の体は自身で守るという姿勢が重要です。

(4)花粉症

北京周辺では春先と秋口に花粉症による、くしゃみ、鼻水、目の痒みを訴える方がいます。3月下旬から4月下旬は、主にヒノキ、ニレ、ポプラなどの樹木由来の花粉が、8月から9月にかけてはヨモギやブタクサなどの草本由来の花粉が原因と考えられています。日本でスギ花粉症の方にとっては、症状が軽い事が多いですが、長く滞在するにしたがい、当地の花粉に感作されることもあります。

(5)肝炎

汚染された水や食べ物から感染するA型・E型肝炎と、血液や体液により感染するB型・C型肝炎があります。A型・E型肝炎は、都市でも散発的に見られますが、衛生状況の悪い地方では流行することもあります。E型肝炎は中国南部地域に多く、妊婦が感染すると重症化することがあります。野生動物の肉や不衛生な海産物を生で食べないなどの対策が必要です。
B型・C型肝炎はともに血液・体液を介して感染しますので、感染者との性的交渉や輸血、不衛生な器具を使用した針治療・入れ墨、違法薬物の接種を避ければそれほど感染の心配はありませんが、中国にはキャリアと呼ばれるウイルス保有者が大変多く、注意が必要です。特にB型肝炎のキャリアは8,860万人(保有率6.6%、WHO 2018)と、日本の129万4,000人(保有率1.0%、同)と比べ非常に高率です。
予防が可能なA型・B型肝炎はワクチン接種をお勧めします。中国では、2019年に全ての肝炎で1,286,691例(A型肝炎19,271例、B型肝炎1,002,292例、C型肝炎223,660例)の発症中、549名(A型肝炎3例、B型肝炎447例、C型肝炎102例)の死亡例が報告されています。

(6)HIV感染/AIDS、性感染症

中国の法定伝染病のうち、死亡数が最も多いAIDSの新規発症、死亡者数は2008年以降年々増加し、2019年は71,204例の新規発症と20,999例の死亡が報告されました。HIV感染者は増加傾向にあり、WHOの報告では約86万人の感染者がいると推定されています。

雲南省、四川省他、南方に感染者は集中していますが、北京市でも2017年に3,053例の発症と509例の死亡が報告されています。異性間及び同性間の性的交渉が主な感染経路で、かつて問題となった売血や違法薬物接種による感染者は減少しているようです。

その他、淋病は117,938例、梅毒は535,819例(いずれも2019年)と、多数の性感染症が報告されています。北京には地方出身者が多いため、肝炎同様、不特定多数との性交渉にはリスクが伴います

(7)結核

日本も先進国の中では、結核罹患率の高い国(人口10万人あたり11.5人、2019年)ですが、中国では患者数も非常に多く(人口10万人あたり56人、2019年)、未だ死亡原因の上位に位置しています。2019年の結核の報告数は775,764例、そのうち死亡は2,990例で、政府の対策や薬の普及により結核罹患率は漸減傾向を認めますが、依然として罹患率は高い状態にありますので、咳や微熱が長く続く場合には疑う必要があります。

(8)寄生虫症

北京を含め大都市では少なくなりましたが、回虫、蟯虫、鞭虫等の感染が認められています。これらの寄生虫感染は、虫卵に汚染された生野菜の摂取が原因とされます。現在中国では、化学肥料と農薬の使用が一般的になり、寄生虫疾患は減少しています。むしろ残留農薬が問題となっていますので、野菜等は良く洗うことが必要です。中国の湖・河川地域では住血吸虫症が見られましたが、中央政府の住血吸虫症撲滅運動により患者は激減し、2017年には中国全土で年間1,186例の報告にとどまっています。

(9)鳥インフルエンザ

中国ではA型(H5N1)をはじめとする高病原性インフルエンザのヒトへの感染が発生し、2015年には発症6例中3例の死亡が報告されていますが、2017年には報告例はありません。また2013年頃からA型(H7N9)のヒトへの感染例が多く発生しており、2017年には、589例の発症、259例の死亡が報告されています。

一般に鳥インフルエンザウイルスはヒトに感染しにくく、感染してもヒトからヒトへの伝播が起こりにくいため、これまでのところパンデミックの発生には至っていません。流行情報に接した際には、生死を問わず、家禽に直接触れないという一般的な対策が必要です。

​​(10)デング熱

中国広東省では、例年7月から11月にかけデング熱患者が発生しますが、大流行した2014年の患者数は、過去最多であった1995年の5,300人を超えるなど、中国全土で46,864例の報告があり、6例の死亡がありました。2019年の全土での患者数は22,188例、死亡3例でした。北京市周辺でデング熱の心配はありません。流行地に出かける際には、屋外での蚊による吸血を避けるため適切な防蚊対策が必要です。

(11)狂犬病

中国では現在でも狂犬病が報告され、2019年には290人が発症し、276名が死亡しています。北京市内に限ると年間の発症数はごく希であるものの、犬に噛まれるというニュースはしばしば取り上げられています。犬、猫、コウモリなどの野生哺乳動物にひっかかれた場合や噛まれた際には、傷口を流水で十分洗浄した上で、速やかに医療機関を受診してください。
予め狂犬病予防ワクチンを接種済みであっても、暴露後免疫のため速やかにワクチンの接種が必要です。2020年10月現在、北京市では106カ所の医療機関で狂犬病ワクチンの接種が可能です。ワクチン接種が必要と判断される場合には、北京市疾病予防コントロールセンターのホームページ(https://www.bjcdc.org/indexcdc.html)をご参照の上、医療機関に連絡し処置を受けるようにしてください。

 

[参考] 外務省「世界の医療事情」>中国(北京)

 

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地方自治体にて起業支援・地域振興業務に従事後、コワーキングスペースの立ち上げ、イベント運営やクラウドファンディング、補助金事業サポートなど多数経験。事業立ち上げで培ったコンテンツマーケティングの経験や人的ネットワークを活かし、YOKUMIRU株式会社の海外に関する記事を担当。多方面にわたる情報収集力に長け、趣味の海外旅行で集めた情報も盛り込み、ブログを執筆している。
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