私たちの身体は、生きている限り老化が進みます。しかし、老化の進み方には個人差があり、その進行には生活習慣が大きく関わっています。近年では「老化があらゆる病気の原因」と言われるようになり、特に注目されているのが、「糖質の摂取と老化の関係」です。今回は最新の医学的知見に基づいて、医師に「糖化と老化」の関係を解説してもらいました。
糖質が老化を進める「糖化」とは?
糖質を過剰に摂取すると血糖値が急上昇し、体内のタンパク質と余分な糖が結びついて「糖化反応(グリケーション)」が起こります。この反応で生まれるのが「AGEs(Advanced Glycation End Products:最終糖化産物)」です。
このAGEsは、
皮膚のコラーゲンを変性させ、シワ・たるみを引き起こす
血管の弾力を失わせ、動脈硬化を進行させる
骨の質を劣化させ、骨粗しょう症のリスクを高める
認知症、腎臓病、心血管疾患など、さまざまな慢性疾患の引き金となる
といった、全身の老化や病気リスクに直結する悪影響を及ぼすと報告されています。
「糖化」のスピードは生活習慣で決まる
老化というとシワやたるみなど「見た目」を連想しがちですが、もっと深刻なのは「血管や臓器の老化」です。これが進行すると、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気を引き起こしかねません。ある調査では、約78%の人が「糖化年齢が実年齢よりも高い」という結果が出ており、若いうちから血糖コントロールを意識することが、健康寿命とQOL(生活の質)向上に直結します。
「糖化」の進行は年齢よりも生活習慣に左右されます。糖質過多の食生活や血糖値の急上昇を繰り返すと、糖尿病でなくても血管にダメージが蓄積し、脳卒中・心筋梗塞リスクが高まるとされています。日本糖尿病学会も、血糖管理は「糖尿病予防」だけでなく「全身の健康維持」に不可欠と強調しています。
糖質制限だけでいいのか?バランスが大切
「糖質=悪」と考えるのは危険です。糖質は脳や筋肉にとって重要なエネルギー源であり、完全カットは健康リスクを生む可能性もあります。大切なのは、「何をどれだけ、どのように摂るか」を意識することです。推奨される工夫は以下の通りです。
低GI食品を選ぶ(例:玄米、全粒粉パン、オートミールなど)
食物繊維と一緒に糖質を摂る(血糖値の急上昇を防ぐ)
ベジファースト(野菜を先に食べる)を実践する
甘いジュースや菓子パン、スイーツは控えめに
食後の軽いウォーキングを取り入れる(血糖値の上昇を緩やかにする)
AGEsを減らすために積極的に摂りたい食品は?
適切な食事療法により、糖化が進んだ身体も改善可能です。AGEs生成を抑えたり、体内から排出を促したりする食品を積極的に取り入れましょう。
野菜・果物
ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、トマト、アボカド、ベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、いちご)、りんごなどは、抗酸化作用の強いビタミンCやポリフェノールが豊富で、AGEsの生成を抑えます。
豆類・ナッツ類
大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)、アーモンド、くるみなどは、良質なタンパク質と抗酸化物質が含まれ、血糖値の急上昇も防ぎます。
魚介類
青魚(サバ、イワシ、サンマ)、鮭(サケ)などは、オメガ3脂肪酸が豊富で炎症を抑え、血管を守る働きもあります。
発酵食品
ヨーグルト、味噌、キムチなどは腸内環境を整えることで、糖の代謝を助けAGEsの蓄積を防ぎます。
スパイス・ハーブ
シナモン、ターメリック(ウコン)、ローズマリーなどは、抗酸化力が高く体内の酸化ストレスを抑制してくれます。
飲み物
緑茶、ルイボスティー、カモミールティーなどは、ポリフェノールや抗酸化成分が豊富で、AGEs生成を減らす効果が期待できます。
さらに気をつけたいAGEsを増やさない調理方法
AGEsの生成は調理法によっても左右されます。意識したいポイントは
「生」や「蒸し料理」を中心にする
揚げ物や焦げた食品は避ける
水分の多く使った調理(煮物、蒸し物)を取り入れる
毎食必ず野菜か果物を摂る
甘いもの・高脂肪の加工食品(スナック菓子、ベーコンなど)は控えめに
無理なく楽しく、食生活を整えていきましょう。気になる症状がある方、自分に合った食事プランを知りたい方は、ヨクミルで日本人医師に相談してください。健康的な未来を一緒に作っていきましょう。


