【医師監修】健康は口の中から!口内フローラを整えて全身を守る

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私たちの腸内には多くの細菌が生息しており、「腸内フローラ」という言葉も広く知られています。同様に、口の中にも多くの細菌が存在し、「口内フローラ」と呼ばれています。口内フローラは、口の中だけでなく全身の健康にも大きな影響を与えるため、バランスを整えることが大切です。今回は、口内フローラについて、専門医の先生に解説していただきました。

口内フローラの構成と働き

口内フローラとは、口内に存在する多種多様な細菌群の集合体を指し、顕微鏡で観察すると、その様子が花畑(フローラ)のように見えることから、この名称がつけられています。私たちの口の中には、約700種、約100億個の細菌が存在していて、これらがバランスを保つことで口腔内の健康が維持されています。

口内フローラは、主に3種類の菌で構成されています。

1. 善玉菌(有益菌)

o 乳酸菌、ビフィズス菌など
口腔内を健康に保ち、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。

2. 悪玉菌(有害菌)

o ミュータンス菌(虫歯菌)、歯周病菌など
虫歯や歯周病を引き起こし、口臭やその他の疾患の原因になります。

3. 日和見菌

o 連鎖球菌など
健康な状態では悪さをしませんが、口腔環境が乱れると悪玉菌として働き始めます。

この3種類の菌がバランスよく共存していることが、理想的な口内フローラの状態とされます。特に善玉菌が優勢であることが、口腔の健康を保つ鍵となります。

口内フローラの乱れが引き起こす健康問題

口内フローラのバランスが崩れると、以下のような健康リスクが高まります。
1. 虫歯(う蝕)
ミュータンス菌が糖を分解して酸を作り出し、歯のエナメル質を溶かすことで発生します。
2. 歯周病
歯周病菌が歯茎に炎症を引き起こし、進行すると歯を支える骨を破壊します。
3. 口臭
悪玉菌が増えることで、揮発性硫黄化合物が発生し、強い口臭の原因となります。
4. 全身疾患との関連
近年の研究では、口内フローラの乱れが糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎などの全身疾患と関連していることが明らかになっています。

毎日のケアで口内フローラを整えましょう!

口内フローラのバランスを整えるためには、日々のケアと生活習慣の見直しが重要です。

1. 正しい歯磨き習慣

歯磨きの頻度とタイミング:朝・昼・夜の1日3回、就寝前は唾液の分泌量が減少するため、特に就寝前の歯磨きが重要です。
歯間ブラシ・デンタルフロスの活用:歯と歯の間の汚れをしっかり取り除きましょう。
舌のケア:舌苔(ぜったい)が溜まると口臭の原因になるため、適度に清掃しましょう。

2. 唾液の分泌を促す

唾液は、口腔内のpHを中和し、悪玉菌の増殖を抑える働きを持っています。唾液の分泌を促進する方法として、以下のような対策が挙げられます。
よく噛む:食事の際に一口30回以上噛むことで、唾液の分泌を促進します。
ガムを噛む:キシリトール入りのガムを数分間噛むことで、唾液の分泌が増加します。キシリトール入りの飴をなめることも効果的です。
水分補給:口腔内が乾燥すると悪玉菌が増えやすくなるため、こまめに水を飲むようにします。

3. 食生活の改善

口内フローラを整えるためには、食生活にも注意が必要です。

発酵食品を摂取する:乳酸菌を含むヨーグルトや納豆は、善玉菌の増殖を助けます。
糖分の過剰摂取を控える:砂糖が多い食品(ジュース、飴、菓子パンなど)は悪玉菌のエネルギー源になるため、摂取を控えましょう。
間食の頻度を少なくする:食後は口腔内が酸性に傾きます。食事の回数を守ることで口腔内の良好なpHが保たれます。砂糖の含まれていない飲料等の摂取は問題ありません。
野菜や食物繊維を多く摂る:野菜、豆類、海藻などは腸内環境を整え、間接的に口内フローラにも良い影響を与えます。
日常的に緑茶を飲む:緑茶に含まれるカテキンは、有害菌の繁殖を抑えてくれます。飲むだけでなく、口をすすぐのもおすすめです。

4. 口腔ケア製品の活用

最近では、口内フローラを整えるためのプロバイオティクス配合の歯磨きマウスウォッシュも販売されています。これらを活用することで、善玉菌を優位に保つことが可能になります。

5. 定期的な歯科検診

• 定期的(3〜6ヶ月ごと)に歯科検診を受ける
• 歯のクリーニングを受け、歯垢・歯石を除去する
• 歯科医師による専門的なアドバイスを受ける

口内フローラの乱れは全身の健康にも影響を与えるため、日々のケアを怠らないことが重要です。歯磨きや食生活の改善、唾液の分泌を促すなどを意識することで、口内フローラのバランスを保ち、健康な口腔環境を維持できます。健康的な生活を送るためにも、まずは口の中から健康を意識しましょう。

歯茎の腫れや口臭など気になる症状がある方、効果的なケア方法が知りたい方は、早めにヨクミルで専門医に相談しましょう。

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監修者プロフィール
相談科:
  • 歯科・口腔外科
専門領域:
  • 歯科全般
  • 総合歯科
渡辺わたなべ 景子けいこ先生
ハワイで歯科医を開業し、年齢を重ねた時に多くの歯が残るよう、長期的に考えた治療方針を提案しています。海外の歯科医院にハードルを感じている方、提案された治療法のセカンドオピニオンなどに利用してください。
著者アイコン 著者プロフィール
中野なかの 紗瑛さえ
文具メーカーでプロダクトマネージャーを担当後、システム開発販売会社で販売促進やイベント企画を経験。その後、フリーのプランナー・コピーライターとして、商品企画と販売促進全般、店舗、経営者、政治家、医者などの取材、ライティングを数多く手がける。2021年より、YOKUMIRU株式会社のブランディングマネージャーに就任。医療、健康、美容、飲食系のライティングを得意としている。
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