東京は梅雨入りして、温度、湿度ともに高い日が続いていますが、梅雨になると毎年「何となく体調が悪い・・・」という方も少なくないと思います。海外にいると梅雨はなくても、曇りが多い地域や湿度が高い地域だと、同じように調子の悪さを感じる人がいるようです。そこで今回は、湿度と体調不良の関係、その対策法を医師に解説してもらいました。
6割以上が経験あるという「気象病」とは?
梅雨の季節には、体調不良を起こす人が少なくありません。雨の日に気持ちが落ち込んだり、頭痛や身体のだるさを感じたりする症状を総じて「気象病」と呼ばれています。製薬会社が「気候や気圧の変化による身体の変化や不調を感じたことの有無」について、全国の男女2,350人に行った調査によると、64.6%が「経験ある」と答えました。特に冬に曇りや雨、雪の日が多い島根県は80.0%で全国1位、最も低いのは「梅雨がない」と言われる北海道の44.0%の倍近い人が経験者でした。多い症状としては、頭痛(67.1%)、だるさ(50.8%)、気分の落ち込み(23.6%)で、頭痛の発症経験者が最も多いのは、盆地で寒暖差が大きい京都府で86.1%でした。
気象による体調の変化として、「気分が落ち込んだ経験の有無」について聞いたところ、「ある(とてもある+まあまあある)」と答えた人は、全国で54.2%もいました。都道府県別でみると、快晴率が低く曇天日数の多い秋田県が73.2%と最も多い結果となり、最も少ないのは広島県で43.9%でした。広島県は比較的少雨で、年間を通じて晴天の日が多く、穏やかな気候に恵まれた地域と言われています。この結果を見ると、天候によってメンタルにも大きな影響があると言えます。
【参考】第一三共ヘルスケア株式会社(2022年の調査)
自律神経のバランスの乱れが影響している?!
気象病の原因は、気圧や温度、湿度の変動による自律神経のバランスの乱れによるものと言われています。その要因は、気圧の変化を感じるセンサーがある内耳です。内耳のセンサーで感知した刺激を脳に伝えたとき、脳にある自律神経のバランスを司る部分が過敏に反応してしまうことで、自律神経のバランスが乱れ、上手く調節できなかったときに気象病を発症すると考えられています。
また、女性ホルモンやストレスも原因になっています。女性ホルモンのバランスが乱れているときや過度なストレスを感じているときは、通常よりも自律神経のバランスが乱れやすく、気象病が起こりやすいと言われています。
気象の変化に対して気分が落ち込むのにも、自律神経のバランスが関係しています。自律神経には副交感神経と交感神経とがあり、その両者の巧妙なバランスが保たれることで、人は元気に生活を送れます。リラックスと関係する副交感神経が優位になり過ぎると、気分の落ち込みやだるさ、眠気を引き起こし、逆に交感神経が強くなりすぎるとイライラしたり、動悸を感じたり汗が出たりするなどの症状が現れます。
湿度や気候の変化に負けないポイントは?
気象病を感じている人は、よく寝ることが大切です。よい睡眠をとることで、自律神経の乱れが整います。ストレスの多い人は、お風呂にゆっくり入って身体を温めたり、好きな音楽などを聞いてリラックスしたりして、副交感神経の働きを促しましょう。一方副交感神経が優位になり過ぎ、気分の落ち込みや眠気の症状を感じている人は、寝ているだけでは症状が良くなりません。気分や眠気以外に辛くて問題となるような症状がない場合は、思い切って外に出て身体を動かすことが効果的です。外に出ることで交感神経が優位に働き、気分が晴れることがあります。適度な運動をすることで、睡眠の質の向上も期待できます。
また、湿度が高いときは、身体から汗をうまく出せなくなりがちです。そのため、身体に余分な水分や老廃物を溜め込むことに繋がり、むくみやだるさ、頭痛、肩こりなどを起こしやすくなります。むくみの解消には、体の余分な塩分(ナトリウム)とともに、水分を排出してくれる「カリウム」を摂るようにしましょう。カリウムは、きゅうりやズッキーニ、大根、アボカド、バナナなどに多く含まれ、サラダや温野菜などで食べるのがおすすめです。
さらに東洋医学では、過度の湿度で胃腸が弱るという考え方があり、梅雨時や湿度が高いエリアでは、食欲が落ちやすいようです。胃腸の状態が悪いと、脳や自律神経にも悪影響があるともされています。胃腸の状態を安定させるために、発酵食品を定期的に摂ることもおすすめします。
気になる症状があるときや、何をしても気持ちが晴れないときは、ヨクミルで日本人医師に相談してください。その方にあった解消方法をアドバイスしてくれますので、お気軽にご利用ください。