【医師監修】海外生活しんどくないですか? 海外在住女性の約56%が感じる“心のSOS”を医師が解説

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海外での生活は、多くの刺激と新しい経験に満ちている一方で、日本では感じたことのないような「心の疲れ」や「孤独感」に直面することも少なくありません。特に女性はその傾向が強く、外務省の調査によると女性の10.6%が「常に孤独を感じる」と回答し、「時々孤独を感じる」と答えた人を合わせると、56.2%にのぼります。今回は、海外在住の女性が抱えがちなメンタルヘルスの問題について、どのように向き合えばよいのかを医師に解説してもらいました。

海外在住の女性に多いメンタルの悩み

海外生活で孤独を感じる人は少なくありません。特に30〜39歳の女性では「常に孤独を感じる」が13.6%、「時々孤独を感じる」合わせると63.4%にもなり、他の年齢層と比較して高い傾向にあります。この世代は、家族・キャリア・健康といった複数のライフイベントが重なりやすく、心のバランスを崩しやすい時期でもあります。以下のような悩みを抱くことが多くあります。

1. 孤独感と社会的孤立

海外で暮らしていると「ここで何かあっても、頼れる人がいない」や「誰にも本音を話せていない気がする」などといった思いが積み重なると、抑うつ症状や不安障害のリスクが高まります。
「こんなふうに孤独を感じてしまうのは、自分だけ?」と思うかもしれませんが、それはあなただけではありません。環境の変化や社会的つながりの希薄さは、誰にとっても大きな負担になり、孤独を感じることはごく自然な反応です。ひとりで抱え込まず、誰かに話すだけでも心の荷物は少し軽くなります。

2. 役割の喪失感

日本ではキャリアや役割を持っていた人が、海外生活で仕事を辞めざるを得なかった場合、「私は一体何者なのだろうか?」と自分の存在意義や価値を見失いがちです。「『○○さんの奥さん』という呼ばれ方が、自分のすべてのように思えてしまう」、「子育てと家事だけの毎日で、自己肯定感が下がる」などと感じることもあるでしょう。こうした気持ちが長引くと、気力の低下や無気力感につながることがあります。あなたの今の気持ちを否定せずに受けとめてあげてください。過去のあなたも、今のあなたも、どちらも大切な存在です。

3. 言語ストレスと過剰な緊張

日常的に外国語で対応しなければならない環境では、「間違えないように」「誤解されないように」と慢性的な緊張状態が続きます。これは自律神経のバランスを崩し、慢性疲労や不眠を引き起こすこともあります。外務省の調査では、現地語が片言でしか話せない人のうち10.2%が「常に孤独を感じる」と回答し、流ちょうに話せる人の6.6%より高い割合でした。「慣れなければ」と自分を追い込まず、できる範囲で休むことも大切です。がんばりすぎない勇気を持ってください。

4. 育児や教育に関する不安

海外での子育ては、情報や支援も限られるうえ、「日本と育て方が違う」ことに戸惑いを感じることもしばしばあります。「日本式で育てていいの?現地のやり方が正解?」や「子どもが現地校でつらい思いをしているのでは…」といった不安は、親としての自信の喪失にもつながります。あなたが日々試行錯誤しながら子育てに向き合っていること自体が、すでに十分素晴らしい営みです。

メンタルケアのためにできること

自分を「ダメだ」「弱い」と責めるのではなく、無理のない範囲で次のようなことを実践してみてください。

1. 「つながり」を意識的につくる

オンラインでもよいので、日本語で話せる相手や専門家と定期的に交流することで、気持ちを整理しやすくなります。外務省の調査では、相談相手がいる人のうち「常に孤独を感じる」と回答した割合は5.8%ですが、相談相手がいない人では28.7%に急増します。つまり、相談相手の有無で、いつも孤独を感じる人の割合に5倍近い差があることがわかります。心の声に耳を傾けてくれる誰かがいるだけで、救われることがあります。「助けて」と言っていいのです。

2. 自分だけの「役割」や「時間」を持つ

どんな小さなことでも、「これをしていると自分らしい」と思える活動を持つことが、自己肯定感の支えになります。趣味、資格取得、オンラインの仕事など、選択肢は増えています。少しでも心が動くことがあれば、まずは一歩踏み出してみてください。それが、自分自身を取り戻すきっかけになります。

3. 日本語で相談できる医療・心理支援を活用する

現地での医療やカウンセリングにハードルを感じるときは、日本語で相談できるサービスを利用しましょう。ヨクミルは、日本語で医師に相談できるオンライン医療相談サービスです。心の不調は「早期の相談」がその後の回復に大きく関わります。「大したことではないかも」と思わずに、気になることがあれば早めに相談してください。あなた自身が、あなたの心を一番大切にしてあげてください。

海外生活は、自分自身を見つめ直す大きなチャンスでもあります。しかし「がんばり続けなければ」と思い込むと、心が静かに疲弊していくこともあります。不安や孤独は、決してあなただけの問題ではありません。「助けを求める」ことは弱さではなく、自分を大切にする行動です。
自分の感情に正直になり、自分を大切にしましょう。あなたの心に、少しでも安心とぬくもりが戻ってきますように。何か気になることがあれば、ヨクミルで気軽に相談してください。

参考
外務省「海外における邦人の孤独・孤立に関する実態把握のための調査」

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監修者プロフィール
相談科:
  • 精神科(メンタルヘルス)
  • 総合診療科
桒田くわた 有紀あき先生
大学病院で精神科医として勤務後、産業医として社員の方々の健康管理に携わっていました。現在は、韓国で出産し、子育て中です。メンタルヘルス不調については、日本語で相談したい場面が多いかもしれません。海外で相談する人がいない中、一人で心身の悩みを抱えずに気軽にご相談ください。
著者アイコン 著者プロフィール
中野なかの 紗瑛さえ
文具メーカーでプロダクトマネージャーを担当後、システム開発販売会社で販売促進やイベント企画を経験。その後、フリーのプランナー・コピーライターとして、商品企画と販売促進全般、店舗、経営者、政治家、医者などの取材、ライティングを数多く手がける。2021年より、YOKUMIRU株式会社のブランディングマネージャーに就任。医療、健康、美容、飲食系のライティングを得意としている。
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