
寝込むほどではないけど、「なんとなく疲れやすい」「手足が冷える」「肌の調子が悪い」という症状を感じている方は多いと思います。もしかすると、その不調の裏には「血液の流れ」が関係しているかもしれません。いわゆる「血液ドロドロ」と呼ばれる状態は、生活のパフォーマンスが低下するだけでなく、重大な病気のリスクとも深く関わっています。今回は、その「血液ドロドロ」の危険性と予防法を医師が解説します。
「血液ドロドロ」とはどんな状態か?
一般的に「血液ドロドロ」と言われる状態は、医学的には「高粘度血症」や「血流停滞」と呼ばれます。脂質や糖、老廃物などが多く含まれることで血液の粘度が高まり、血管内での流れが悪くなる。それが、いわゆる「血液ドロドロ」と呼ばれている状態です。
このような状態になると、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化といった命にかかわる病気を引き起こしやすくなります。厚生労働省の「令和5年人口動態統計」によると、心疾患(高血圧性を除く)で亡くなった方は約23万人、脳血管疾患による死亡者は約10万人。合わせて年間30万人以上が、血流や血管のトラブルに関連した疾患で命を落としています。
血液ドロドロは、誰にでも起こり得る状態ですが、特に以下のような方はリスクが高いため、注意が必要です。
* 40代以降の方、特に高齢者(65歳以上)
* 糖尿病・高血圧・脂質異常症など生活習慣病のある方
* ストレスや運動不足が慢性的な方
* 水分不足や偏った食生活が続いている方
糖尿病の方は、脳梗塞の発症率が健常者の2~4倍にもなるといわれており、血流の悪化が深く関わっています。
主な自覚症状・兆候は?
血液がドロドロ(=血液の粘度が高い、血流が悪い)状態には、はっきりとした自覚症状は少ないのが実情です。しかし、間接的な「身体からのサイン」として、以下のような症状が見られることがあります。
朝がつらい、疲れがとれない
血流が悪くなると、寝ている間に体の修復や代謝がスムーズに行われず、翌朝も疲れが残ることがあります。
頭が重い・ボーっとする
脳の血流が悪くなることで、集中力低下や軽い頭痛、めまいのような脳の酸素不足症状が出ることがあります。
手足の冷え・しびれ・むくみ
血流の悪化は末梢の血管にも影響するため、手足が冷える・むくむ・しびれるといった違和感につながることもあります。
肩こり・腰の重さ・目の疲れ
筋肉に酸素や栄養が届きにくくなると、老廃物も溜まりやすくなり、コリや張り、疲労感が慢性化しやすくなります。
肌がくすむ・クマが取れない
血行不良により、肌の代謝(ターンオーバー)が滞ると、くすみやクマ、肌荒れが目立つようになります。
イライラ、不安、睡眠の質の低下
自律神経のバランスが乱れやすくなり、イライラや不安、よく眠れないなど、メンタル面の不調として現れることもあります。
血液サラサラにすることで得られる健康効果
血液の流れが良くなると、単に病気を防ぐだけではありません。身体全体のパフォーマンスが底上げされるような、さまざまな嬉しい効果が期待できます。
① 脳と心臓の健康を守る
血栓ができにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞の予防に。重大疾患から身を守る第一歩です。
② 美容面でも嬉しい変化
血行が良くなると、肌の透明感やハリが回復しやすくなり、くすみやクマの解消にも繋がります。新陳代謝が整い、自然と肌ツヤがよくなります。
③ 冷えや肩こりが和らぐ
手足の末梢まで血流が届くようになることで、冷え性や肩こり、腰のだるさといった不快感の改善が見込めます。
④ 集中力・メンタルの安定
脳の血流がスムーズになると、集中力や記憶力、睡眠の質の向上にもつながります。イライラや不安が減り、気持ちが整いやすくなります。
⑤ ダイエット・代謝促進
全身の代謝が活性化し、脂肪が燃焼しやすい体質に。無理な食事制限をしなくても、自然に太りにくい身体に近づきます。
血液サラサラに導く生活習慣
血液の流れは、日々のちょっとした積み重ねで変わります。ポイントは以下のとおりです。
* 水分をこまめに摂る(1日1.5~2L目安)
* 青魚・海藻・野菜中心のバランスの取れた食事を心がける
* 軽い運動やストレッチ(ウォーキングでもOK)を習慣にする
* お風呂で湯船につかって、深呼吸でリラックスする
* 睡眠時間をしっかり確保する(6~7時間以上)
血液の状態は、検査結果だけでなく、日々の不調のサインにも現れます。「最近ちょっと疲れやすいな」「肌の調子が悪いな」そんな小さな違和感こそ、体が発している“声”かもしれません。
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