【医師監修】世界のインフルエンザ流行状況と感染予防

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インフルエンザは、インフルエンザウイルス感染によって起こる急性の呼吸器感染症です。毎年世界中で流行し、特に季節性の特徴が顕著に表れる感染症として知られています。日本でも学級閉鎖になるなど、既に猛威を奮っていますが、今シーズンの傾向と予防法を医師に解説してもらいました。

インフルエンザの世界的な流行パターン

地域によって時期は異なりますが、インフルエンザは世界中で流行があり、一般的には、温帯地方では冬季(南半球では6〜9月)に流行が見られます。世界的大流行(パンデミック)は、歴史的にも古くから記載されていますが、化学的に確認されているのは1900年頃からです。1918年から流行したスペインインフルエンザ(原因ウイルス:A(H1N1)亜型による死亡者数は、全世界で2000〜5000万人と言われており、日本でも約38.8万人の死亡者数が推定されています。その後も1957年、1968年、2009年に世界的な大流行を起こしています。
例年、南半球で流行したインフルエンザウイルスは、その後、日本やアメリカなどを含む北半球の冬季に流行する可能性が高く、南半球のインフルエンザ流行の傾向が、世界の流行予想に役立ちます。このパターンを理解することは、各国の医療体制の準備に重要な指標となっています。

2024年のオーストラリアの感染状況の特徴

・流行開始時期:2023年と同程度
・ピーク時感染者数:2022年と同程度に高い
・ピーク時期:2023年よりやや遅く、2017年より早い

コロナ禍の行動制限の影響

2020年に新型コロナウイルス感染症が、世界的大流行して以降、各国での感染症対策の強化や行動制限により、インフルエンザの発生は一時的に減少しました。しかし、行動制限の解除や社会活動の再開に伴い、インフルエンザの流行が再び見られるようになっています。例えば、2022年のオーストラリアや2023年の日本では、行動制限の緩和によりインフルエンザの流行が拡大したと考えられます。コロナ禍での感染症対策により、RSウイルスなど他の感染症の流行も抑制されていましたが、コロナ対策が緩和されると、これらのウイルスも再び流行する可能性があります。
南半球の動向として、2024年のオーストラリアでのインフルエンザのピーク時の感染者数が多かったことを踏まえると、北半球でも同様に感染者の増加が予測され、実際にも今冬、増加傾向が見られます。また、A型インフルエンザと新型コロナウイルスが重複感染すると、より重度の体重減少や肺炎の悪化が見られることも報告されています。
2023年から2024年にかけて、北半球4カ国(日本、アメリカ合衆国、カナダ、中国)のインフルエンザ感染者数の動向は次のとおりです。

日本のインフルエンザ動向

日本のインフルエンザ感染状況(2024年11月以降)

• 感染者数の増加: 2024年11月後半からインフルエンザ感染者が増加し、40の都道府県で注意報レベルを超え、警報レベルに達した県があります。
• 症状の特徴: 今年のインフルエンザの症状として、「胃の不快感・吐き気」が報告されています。
• 感染の傾向: 子どもより大人の感染が先行していることが特徴的で、年末年始頃にピークを迎える可能性が指摘されています。
2024年第12月18日現在のインフルエンザ流行レベルマップ
NIID国立感染症研究所https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html

北米地域の動向

アメリカ合衆国のインフルエンザ感染状況(2023-2024年)

流行時期: 例年、11月から4月にかけて流行しますが、2023年は長期化の傾向が見られました。
ピーク時期: 12月にピークを迎え、1月に一度落ち着くものの、春まで流行が継続しました。
医療機関への受診率: 流行の長期化に伴い、医療機関への受診率に変化が見受けられました。具体的には、2023年9月(第36週)時点で定点当たり報告数が4.48に達し、12月には33.72まで上昇しました。その後、2024年5月(第18週)になってようやく1.00を下回り、約1年4カ月にわたる長期的な流行が確認されました。このような長期的な流行は、医療機関への受診者数の増加をもたらし、医療提供体制に影響を与える可能性があります。

カナダのインフルエンザ感染状況(2023-2024年)

流行時期: 10月頃から流行が始まり、6月頃まで継続しました。
ピーク時期: 11月から12月にピークを迎え、2023年は長期化の傾向が見られました。
地域差: 地域による感染状況の差異も顕著で、特にオンタリオ州やケベック州で感染者数が増加しました。

中国の状況

中国のインフルエンザ感染状況(2023-2024年)

人口移動の影響: 春節後の人口移動が感染拡大に影響を与えたと指摘されています。
流行時期: 大都市を中心に感染者数が増加した後、夏以降も流行が継続しました。

インフルエンザの感染対策

学校や職場での感染は、家庭内での感染リスクを高めます。以下の予防対策を徹底し、日常生活に取り入れましょう。
手洗い: 帰宅時や調理前後、食事前など、石鹸を使った正しい手洗いをこまめに実施する。
予防接種: 流行前にワクチンを接種する。
健康管理: 十分な休養とバランスの良い食事で抵抗力・免疫力を高める。
湿度管理: 加湿器などにより適度な湿度を保ち、乾燥を避ける。
外出控え: 人混みへの外出を控える。
換気: 室内をこまめに換気する。
咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、マスクやハンカチで口と鼻を覆い、他者への感染を予防する。
昨年の動向を見ると、今年も春以降までインフルエンザ流行が続く可能性があり、今後も世界の状況を継続的に把握し、社会全体・個人レベルで感染対策することが重要です。既に気になる症状のある方、病院に行った方が良いかどうか迷っている方は、最短で12時間後の予約が可能なヨクミルで、日本人医師に相談してください。
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引用・参考
NIID 国立感染症研究所.“インフルエンザ流行レベルマップ 第50週(12/20更新)”. NIID 国立感染症研究所.https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html, (2024/12/26)
東京都健康安全研究センター.“世界でのインフルエンザの発生状況”. 東京都健康安全研究センター.https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/influenza_world/, (2024/12/25)
市川駅前本田内科クリニック.“2024-25年のインフルエンザ流行予測”. 市川駅前本田内科クリニック.https://honda-naika.net/blog/flu_20240920, (2024/12/25)
WorldHealthOrganization(WHO).“INFLUENZA LABORATORY SURVEILLANCE INFORMATION”. WorldHealthOrganization(WHO).
https://worldhealthorg.shinyapps.io/flunetchart/, (2024/12/25)
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監修者プロフィール
相談科:
  • 内科
専門領域:
  • 内科
西田にしだ 昌子しょうこ先生
画像に関する相談だけでなく、アメリカ生活が長いので、どういう検査が必要か、どの病院や医師が良いのかわからない、処方薬や市販薬のことなど、体調や健康のあらゆる問題を相談いただければと思います。
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YOKUMIRU株式会社 ヨクミル編集部
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