英語で神経内科は「Neurology」で、脳神経外科の「Neurosurgery」と対照されるために、
今頃になって日本でも頭に「脳」をつけて対比させようというわけです。
「神経内科」は、名前に「内科」がついているものの、脳神経・筋肉疾患を診る診療科なので、
グループとしては「脳神経外科」、「精神科」、症状によっては「整形外科」などと一緒のグループになります。
脳、中枢、末梢神経、筋肉の疾患を診る診療科で、体を動かしたり、感じたり、覚えたりすることが
上手くできなくなるなどの疾患を内科的に診断し、主に薬物治療などを行います。
一方、「脳神経外科」は外科的手術療法によって、脳動脈瘤や脳腫瘍などを外科的に治療する診療科になります。
具体的には脳腫瘍の診断などは、我々神経内科より長けていると思います。
神経内科の代表的な疾患としては、頭痛、脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかん、末梢神経障害、
髄膜炎、多発性硬化症や重症筋無力症・ギランバレー症候群などの炎症性疾患、
筋ジストロフィー、筋炎などの筋肉疾患など、多岐に及びます。
症状としては、頭痛、めまい、手足のしびれ、気を失う、脱力、物が二重に見える、
飲み込みにくい、顔が麻痺したなど、中枢・末梢神経・筋肉に由来するような症状は、すべて該当するため多岐に渡ります。
そのためまず、全身を診ることが出来る神経内科で、どこの病気であるかを見極めることが大切です。
てんかんは、小児期は小児科の先生が診られ、成人になると我々神経内科医が診ることが多いです(これをCarry overと言います)。
精神科の先生も一部診療しますし、外科的治療を要する場合には、脳神経外科と連携して治療をしますので、
これらの診療科と協力関係にあります。また、末梢神経障害の一つである手根管症候群などは、
症状が進行すれば、整形外科の先生に手術を依頼したりします。
あえて驕った言い方をさせていただくと、「神経内科」はこれらの疾患の扇の要のような存在だと認識しています。