【安心留学のための健康ガイド】出発前に押さえておきたいポイントまとめ

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留学前に世界の 健康リスクをチェック

はじめに

海外留学は大きな人生の転機であり、新しい文化や環境に適応するための挑戦です。海外という新しい環境での挑戦には、様々なストレスや健康上のリスクが伴います。
地域による違いも大きいので、まずは留学先の地域についてリサーチしましょう。

留学前に一次情報の収集を入念に

 情報収集海外留学の健康管理の第一歩は、「情報収集」です。
現状健康であり、気をつけていたとしても、感染症や伝染病が猛威を振るう地域に行けば当然健康リスクは高まります。また、銃撃事件などの治安リスクについても情報を知っておくことが大切です。インターネット上の二次情報などは不確かなことも多いため、現地からの情報や公的機関などが発信している一次情報を入手しましょう。

 

世界各地の伝染病について

世界には日本では馴染みのない病気や感染症があり、地域によって流行しています。留学者数の多い地域順に、注意したい伝染病を紹介します。

欧米では、サルモネラ感染症に注意

サルモネラ菌に汚染された水や食料を摂取することによりうつります。また、サルモネラ菌を保有している動物と接触することで感染することもあります。感染して12時間から72時間の症状のない期間があった後に、3-4日ほど下痢、腹痛、発熱などが見られます。まれにサルモネラ菌が血液中に入り、他の臓器に病気を起こし、重症化することもあります。高齢者や小児など免疫力が低いかたは特に注意が必要です。症状にあわせた対症療法が行われます。

ヨーロッパでは、ダニ媒介のライム病

ライム病の病原菌をもつダニにかまれることで発症します。潜伏期間は3-32日程度です。赤い発疹、疲労、頭痛、関節痛、筋肉痛や首が動かしにくいという症状が現れます。悪化すると、脳や心臓に障害が出るようになり、死亡することがあります。治った場合でも1週間から数年にわたって皮膚や関節に後遺症が残ることがあります。抗生物質の投与が行われます。

アジアでは、けいれんや麻痺が発生する破傷風

破傷風菌が傷口から体内に進入し、菌が出す毒素によって全身の筋肉がけいれん・麻痺する病気です。傷を負ったあと、3-21日の潜伏期をへて発症します。症状は第1期から第4期まであります。まず第1期では口をあけにくくなり、食事をすることが難しくなります。この後第2期では、次第に口をあけにくい症状が強まり、引きつり笑いをしたような表情になります。さらに第3期で、首の筋肉の緊張から背部の筋肉も緊張が強くなります。ここまでの経過時間が48時間以内である場合、特に注意が必要です。第4期では筋肉のこわばりが少しとれます。第4期を過ぎれば、死亡のリスクなど命に関わるリスクは少ないと言えるでしょう。対症療法として、集中治療室で全身を管理して主に傷口の治療や呼吸がしやすいように治療が行われます。

オセアニアと太平洋地域では、ワクチンがなく、治療が大切なデング熱

デング熱は熱帯・亜熱帯で見られるウイルス感染症です。ネッタイシマカやヒトスジシマカによって感染します。現時点で有効とされるワクチンは開発されていません。感染後2日-15日で発症し、高熱や頭痛、腰痛、筋肉痛などの症状が現れます。人によっては全身のリンパ節のはれもみられ、発熱してから3-5日目には胸、背中、顔面、腕、脚に発疹が出ることもあります。これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。さらに重症化するとデング出血熱になります。デング出血熱も致死率はインフルエンザよりも低いとされていますが、しっかりと治療することが大切です。

アフリカでは、蚊媒介のウエストナイル熱狂犬病

ウイルスを持っている蚊に刺されることで感染します。ヒトからヒトへ感染せず、感染しても8割の方は発症しません。潜伏期間は2-6日で、その後39℃以上の発熱、激しい頭痛、筋肉痛がおこります。また、半分くらいの人の胸、背中、腕などに発疹がでます。特に高齢者は重症化して、麻痺や痙攣をおこしたり意識を失ったりし、さらに死亡することがありますので注意が必要です。現段階で特別な治療方法はなく、症状を軽くするための治療が行われます。

伝染病の感染経路

水や食べ物から感染する病気海外には日本より衛生状態の悪い国も多く、生水や生の食品が病原体や寄生虫に汚染されていることもあります。
虫や動物などから感染する病気菌やウイルスを持っていることがあり、動物が残したふんの中に寄生虫がいることもあります。
その他の感染経路で感染する病気傷口から体に侵入して感染することがあります。

参考:“FORTH|厚生労働省検疫所(海外渡航者のための感染症情報)”.http://www.forth.go.jp/, (参照年月日2024-07-04)

参考:“International Travel and Health|世界保健機関(WHO)”. http://www.who.int/en/, (参照年月日2024-07-04)

 

留学前の準備 ワクチン(予防接種)

予防接種には主に二つの側面があります。入国時に予防接種証明書の提示を要求される場合と、感染症から自分自身を守り、二次感染を防止する目的があります。日本にはない病気や感染リスクが高い病気については、接種によって罹患や重症化のリスクを下げることが重要です。留学先の感染症情報を収集して理解した上で、医師に相談することが推奨されています。

参考:“FORTH|厚生労働省検疫所(海外渡航のためのワクチン)”. http://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html, (参照年月日2024-07-04)

留学先の医療機関と⽣活環境に関する情報

世界の医療事情については、外務省が提供している「世界の医療事情」ページで各地域の医務官が収集した情報を確認できます。現地に長期滞在し、保健相談を行っている医務官自身が実際に体験・収集した“衛生・医療事情”、“かかり易い病気・怪我”、“健康上こころがけること”、“予防接種”等について地域毎に各種の情報を掲載しています。留学先の医療情報や生活環境についての一次情報として有効に活用しましょう。

参考:“世界の医療事情 | 外務省”.http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/, (参照年月日2024-07-04)

留学前の準備  持参薬

持病や既往症をお持ちの場合、海外留学生保険に加入していたとしても、既往症を原因とした損害・損失などに対しては補償されないので注意が必要です。留学中も継続的な治療や処方が必要な場合、費用は保険適応外(全額私費負担)です。
また、海外で日本と同じ薬や治療が受けられるかは不確実です。まずは主治医に相談し、留学できる健康状態なのか、しっかり話し合いましょう。既往症があって留学することになる場合、留学先での診察や処方が可能なのか確認し、留学先での診察や処方が可能なのか薬は余裕を持って多めに持参しましょう。
既往症はなくても、アレルギーや偏頭痛、鼻炎などの対症薬を利用している場合は、自分の体質に合った日本の薬を持参するようにしましょう。海外の市販薬は日本と比べて用量が多かったり、成分も異なります。慣れない薬で肝機能障害が出たり、副作用の可能性もあるので注意が必要です。

 

さいごに

海外留学は、学業や文化交流だけでなく、自分自身の成長にも繋がる貴重な経験です。しかし、異国の地での健康管理には十分な準備と注意が必要です。この記事で紹介した情報収集の重要性、感染症の予防、持参薬の準備などを参考に、万全の体制で留学生活を楽しんでください。

健康で安全な留学生活を送るためには、日々の健康管理とともに、現地の医療機関の利用方法や緊急時の対応策を事前に把握しておくことが大切です。準備をしっかりと整え、自分の健康を守りながら、素晴らしい留学体験を積んでください。

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