【医師監修】脇汗に次いで悩んでいる人が多い「手汗」は予防できる?

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暑さとは関係なく、日常生活で困るほど汗をかくのが多汗症です。10人に1人が発症すると言われ、主にわき、手足、頭部、顔面などに現れます。全身の汗が増加する全身性多汗症と、体の一部に汗が増える局所多汗症があり、手に汗をかくことでスマホが故障してしまうなど、日常生活に支障が出ることもあります。今回は、この「手汗」の原因と予防法を医師に解説してもらいました。

局所多汗症は、部位によって発症しやすい時期が異なっていて、手足は低年齢から、脇は思春期になったころ、頭部や顔面は成人してから発症することが多いことが分かっています。手の多汗症の困ることは、汗のせいで授業のノートが取れない、人と握手をできない、携帯電話やパシコンが不具合を起こすなどがあり、恥ずかしさから周囲に言えずに子どもの頃から悩んでいる人も多くいます。

手汗を治療する人は1%以下

局所多汗症は、手のひら、足のうらや脇という限定した部位から過剰な発汗がある疾患で、原因のわからない「原発性多汗症」と、外傷や腫瘍などの神経障害による「続発性多汗症」があります。2020年、日本皮膚科学会が60,969人に行ったアンケート調査によると、原発性局所多汗症の有病率は10.0%という結果でした。部位は腋窩(脇)が5.9%と最も多く、「原発性手掌(しゅしょう)多汗症(いわゆる手汗)」の有病率は2.9%でした。しかし、このなかで医療機関への受診経験率は4.6%という結果が出ています。さらに、多汗症のなかで治療を続けている人は1%以下と非常に少ないことが判明しました。
参考:原発性局所多汗症診断ガイドライン2023年改訂版|公益社団法人日本皮膚科学会

原発性手掌多汗症の多くは、幼少児期から思春期頃に発症し、精神的緊張により手のひら、足のうらに多量の発汗をすると言われますが、リラックスしていて涼しい状態でも、大量の汗をかくことが特徴です。また、昼間(10時~18時)は汗が多いですが、睡眠中の発汗は停止します。症状の重い例では、したたり落ちる程の発汗がみられ、手、足は絶えず湿って指先が冷たく、紫色調を帯びることがあります。
多汗症を放置すると、人とのコミュニケーションに不自由を感じたり、精神的に恥ずかしいと感じたりするだけでなく、汗疹ができて皮膚炎につながったり、細菌によって汗腺から臭いが発生することもあります。手汗に限らず汗の多さに悩んでいるなら、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。

原発性手掌多汗症かどうかチェックしましょう!

多汗症の原因は、発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかともいわれていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。海外では多汗症患者で60~65%に家族内に同じような症状の人がいた(家族内発症)との報告や、常染色体優性遺伝が疑われるとの報告があります。日本でも410人の患者さんのうち、147例(36%)に家族内発症がみられたことから、遺伝する可能性があると考えられます。

日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診断ガイドラインでは、「明らかな原因がないまま身体の一部分だけ過剰な発汗が6ヶ月以上続いている」ことと、以下の「6つの項目のうち2つ以上当てはまること」で局所多汗症と診断されます。

1. 最初に症状が現れたのが25歳以下
2. 左右対称に発汗が現れる
3. 睡眠中は発汗が止まっている
4. 週1回以上、多汗で困ることがある
5. 家族歴がある
6. 日常生活に支障をきたしている

今日からできる手汗のセルフケア

治療を受けるほどでもないという方は、まずは自分でできる手汗のケアを試してみましょう。

①タオルやウエットシートで拭き取る

手汗対策として一般的なのが、こまめに拭き取ることです。汗の量が多いときは、吸水性の高いタオルを使用して拭き取るのがおすすめです。ベタベタが気になるときは、エタノール配合のウエットシートなどを使用すると、さっぱりとした清涼感を得られます。

②制汗剤やベビーパウダーを使う

制汗剤やベビーパウダーで、一時的に手汗をケアすることができます。制汗剤には、有効成分が配合されていて、高い制汗効果を求める方は、クロルヒドロキシアルミニウム配合の制汗剤を使用すると良いでしょう。手のひらに使用するなら、密着力の高いクリームタイプやジェルタイプがおすすめです。手汗の量が多くない場合は、ベビーパウダーでケアすることもできますが、治療薬ほどの効果はありません。

③睡眠不足やストレスに注意

自律神経が乱れると手汗も増えるとも言われていますので、睡眠不足や生活リズムの乱れ、ストレスに注意しましょう。適度な運動を取り入れ、質の高い睡眠をとることが大切です。

セルフケアでも改善が見られない方、気になる症状がある方は、ヨクミルで相談してください。人目を気にすることなく、自宅などからスマホアプリで相談できるので、気軽にご利用ください。

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監修者プロフィール
相談科:
  • 皮膚科
  • 総合診療科
専門領域:
  • 皮膚科
西宮にしみや 愛望あみ先生
日常の皮膚トラブルから、慢性の病気、アトピー性皮膚炎や乾癬、蕁麻疹、ニキビなど、赤ちゃんから老人まで幅広い診療経験があります。ちょっとした体調の変化、メンタルの不調など何でも相談してください。オランダ在住。
著者アイコン 著者プロフィール
中野なかの 紗瑛さえ
文具メーカーでプロダクトマネージャーを担当後、システム開発販売会社で販売促進やイベント企画を経験。その後、フリーのプランナー・コピーライターとして、商品企画と販売促進全般、店舗、経営者、政治家、医者などの取材、ライティングを数多く手がける。2021年より、YOKUMIRU株式会社のブランディングマネージャーに就任。医療、健康、美容、飲食系のライティングを得意としている。
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