睡眠に悩みを抱えている人は多く、「睡眠の質向上」という寝具や健康食品が注目を集めています。厚生労働省の「令和5年度 健康実態調査結果」によると、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」という悩みが45.7%と最も多く、次いで男性は「日中、眠気を感じた」37.5 %、「睡眠全体の質に満足できなかった」31.6%でした。女性は「日中、眠気を感じた」が35.7%で、「寝付きに、時間がかかった」が 34.5%という結果でした。そこで今回は、不眠症とはどんな病気なのか、原因や解消法などを医師に解説してもらいました。
誰しも「眠ろうとしても眠れない」という経験はあると思います。その原因は、心配事があるときや、試験やイベントの前日、旅行先で枕が変わったときなど色々ありますが、通常は数日から数週間でまた眠れるようになります。
しかし、不眠が改善せず長期間にわたって続くと、日中にさまざまな不調が出るようになります。その症状は倦怠感、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振など、多岐に渡ります。このように、「夜間の不眠が続き」、「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」の二つが認められたとき、不眠症とされています。加齢とともに不眠症状は増加し、60歳以上では半数以上の人で認められています。
世界一短い日本人の睡眠時間
日本人、特に子どもや就労者の睡眠時間は、世界で最も短いと言われ(図1)、とりわけ女性は家事や育児の負担が大きいため、男性より睡眠時間が短く慢性的な睡眠不足状態になっていると言えます。不眠症のタイプとしては、寝付きの悪い「入眠障害」、眠りが浅く何度も目が覚める「中途覚醒」、早めに目が覚めて二度寝ができない「早朝覚醒」などのタイプがあります。
(図1)就労者の睡眠時間の国際比較 (厚生労働省e-ヘルスネットより)
その原因も多岐にわたっていて、ストレス、精神疾患、神経疾患、アルコール、薬剤の副作用などがあります。また、大きな災害や感染症によるパンデミックがあった後には、一過性に増加します。このように、不眠症は誰もがなる可能性がある病気です。
前述の通り、不眠症は「不眠」そのものだけでなく、「日中に不調が出ること」が問題です。眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されないので、睡眠時間や目覚めの回数にこだわりすぎないことも重要です。
それぞれの原因に適した解消法を
不眠症はひとつの病気ではないので、原因により対処法も異なります。例えば、ストレスや緊張は、安らかな眠りを妨げます。ストレスで不眠になっていると感じるなら、音楽や読書、スポーツ、友人との会食など、自分に合った解消法で気分転換をはかり、ストレスを溜めないようにしましょう。また、睡眠前に副交感神経を活発にすることは、睡眠の質を上げるコツです。ぬるめのお風呂にゆっくり入ったり、半身浴をしたりしてリラックスすることで、副交感神経を優位にさせることが有効です。
そして、心の病気の多くは不眠を伴います。単なる不眠だと思っていたら、実はうつ病だったというケースも少なくありません。不眠症状とともに気分の落ち込みや意欲減退などを感じる場合は、早めに専門医に相談してください。他にも、治療薬や刺激物が不眠をもたらすことや、そのほかの睡眠障害の場合もあります。
気になる症状がある方は、一人で悩まないで早めにヨクミルで医師に相談してください。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になりますよ。