最近テレビでも取り上げられて話題になっている「まつ毛ダニ」は、目元周辺に生息する肉眼では確認できない微小なダニです。日本人の5人にひとりはまつ毛ダニが存在していて、40代では5割、70歳をすぎでは約8割の人に寄生していると言われています。このまつ毛ダニが原因のまぶたの炎症が増加してきて、国際的にも注目されています。発症すると、まぶたの腫れや赤み、痒みや目やになどの症状が出たり、まつ毛が抜けやすくなったりすることがあります。さらには、ものもらいやドライアイの原因にもなり、その症状は非常に多彩です。今回は、このまつ毛ダニの原因と予防法を専門医に解説してもらいました。
増えすぎると目の病気を発症することも
日本人のほとんどの人には「顔ダニ」がいて、通常は悪さをしないので治療する必要はありません。まつ毛ダニも顔ダニの一種で、体調はわずか0.3〜0.4mm、幅は0.05mmと非常に小さく、肉眼では確認することができません。一般的に知られるダニとは異なり、細長いイモムシのような形状をしています。主にまつ毛の根元に生息し、通常は大きな問題を引き起こすものではありませんが、数が増えすぎると目の病気を発症する可能性があります。
主な症状は以下のようなものです。花粉症などと勘違いされることも多いです。
・まつ毛の生え際が痒い
・まつ毛の根元がフケのように白くなっている
・目がゴロゴロする、充血しやすい
・まぶたが腫れる、ものもらいができる
・目ヤニが大量に出る
・目が乾く(ドライアイ)
・まつ毛が抜けやすくなった
目元に残るメイクや皮脂汚れに注意
まつ毛ダニが繁殖する原因には、下記のようなものがあります。
・寝たきりなどで洗顔ができない
・洗顔しないで寝る、メイク落としが不十分
・脂っこい食事が多い
・睡眠不足
・アイメイクでまつ毛の内側の皮脂腺が詰まっている
・劣化した化粧品や不衛生な化粧道具を使っている
まつ毛ダニは、酸化した脂を好物としているので、皮脂とメイク汚れなどが目元に残ると大量繁殖してしまうことがあります。まつ毛のエクステ(マツエク)をしている人は、取れないように優しくクレンジングするので、毛根の汚れが取りきれなくて、ダニの繁殖しやすい環境になりがちです。女性だけでなく、男性でも目元を不潔にしている人や、脂っこい食事が多い人は、注意が必要です。
寝る前にしっかり汚れを落とす
予防するためには、目の周りをしっかり洗浄して清潔に保つことが大切です。特にまつ毛ダニは夜間に活動するので、寝る前にしっかり汚れを落としましょう。清潔な指で、まつ毛の根本を丁寧にこすって洗ってください。目の表面に入ってしまっても刺激の少ない目元用洗浄液を併用すると、さらに効果が見込めます。枕カバーやタオルなども清潔なものを使いましょう。
また、目の周りの洗浄前に、まぶたを温めることも望ましいです。まぶたから分泌される脂質の排出を促し、まつ毛の根本のフケ状物や固まった目やにを柔らかくすることで、洗浄時にそれらを除去しやすくします。具体的には温かいタオルをまぶたに数分当てるか、市販の目元専用のホットアイマスクを使用するのも良いでしょう。その結果、まつ毛ダニを減らすことが期待できます。
まつ毛ダニは繁殖力が強く、一度繁殖してしまうと取り除くことが大変です。自分ではなかなか判断が難しいので、上記のような気になる症状がある場合は、早めにヨクミルで眼科医に相談してください。