
長時間のデスクワークやスマホ操作で肩や腰が重い…
寝たはずなのに疲れがなかなか取れない…そんな経験はありませんか?
日常生活の中で感じるだるさや疲労感は、多くの場合、環境や私生活が影響しています。
最近の調査でも、働く世代の多くが「慢性的な疲労感」を抱えており、軽く見て放置すると、体だけでなく心の健康にも影響することがわかっています。
だるさや疲労感の実態について、医師に解説してもらいました。
1. 体の疲れの原因
① 姿勢の乱れ
日々の作業で、自分の背中が丸まっていることに気が付くことはありませんか。この姿勢では、背骨や腰の骨、その周りの筋肉、血管、神経、さらに内臓などに余計な力がかかってしまいます。この状態が続くと、肩こり・首こり・腰痛などの症状や、慢性的な疲労感につながることがあります。
② 運動不足
日中にあまり体を動かさない生活が続くと、筋肉を使う機会が減り、筋力が低下したり、血の巡りを調整する働きも悪くなったりしがちです。その結果、筋肉や関節に十分な血流が行きにくくなり、代謝や酸素(動くエネルギー)の供給効率が下がって、ちょっとした動きでも疲れやすく感じることがあります。
③ ストレス
精神的なストレスは、自律神経を介して、血圧や心拍、消化機能にも影響します。
それが持続的になると、一部の人で体のこわばりや眠りの質の低下、頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。
2. 日常でできるセルフケア
① 姿勢の意識
椅子座る場合には背もたれに軽くもたれるように深く腰掛け、骨盤を立てるように意識すると、背中を丸めずに座りやすく、腰への負担も軽くなりますを。パソコン作業時は、モニターは目線より少し下にくる位置が理想で、顎を軽く引くと首や肩への負担を減らせます。長時間同じ姿勢を続けず、可能なら1時間に一度は立ち上がって姿勢をリセットしましょう。
② 軽い運動を習慣に
朝は肩や背中を動かす簡単なストレッチで筋肉に”目覚め”を促すように。日中(昼休みなど)には5〜10分の散歩をすると、血流が促進され、午後の集中力も上がることもあります。また、エスカレーターの代わりに階段を使うだけでも、体が温まり代謝の維持につながります。
膝や腰に痛みのある方は、無理のない範囲で行いましょう。
③ 肩・腰をこまめにほぐす
同じ姿勢での作業を続けると肩や腰の筋肉がこわばりやすくなります。肩を後ろに数回ゆっくり回したり、腰をひねったりするなど、こまめに体を動かしてみましょう。「痛みが出てから」ではなく「少し固まってきたな」と感じたタイミングでほぐすのがポイントです。
④ ストレスケアの時間をつくる
深呼吸を数回繰り返すだけでも、自律神経のバランスが整いやすくなります。日中(昼休みや仕事の合間など)に、1分でも呼吸に意識を向けると、頭と気持ちの切り替えにもつながります。
⑤ 睡眠と水分補給で回復をサポート
夜は寝る1時間ほど前からスマホなどの光を控えると、寝つきが改善する可能性があります。ぬるめの湯船に浸かって体を温めておくと、自然に眠りに入りやすくなります。カフェインやアルコールは睡眠の質に影響することがあるため、控えめにしましょう。日中はこまめな水分補給も大切ですを。脱水気味になると集中力・疲労感に影響することがあるため、「喉が渇く前に一口」が意識するとよいでしょう。
なお、持病などで医師から水分量の指示がある場合は、その指示に従ってください。
それぞれの体調や生活リズムに合った方法を見つけることが大切ですが、ちょっとした工夫だけでも、体のだるさや疲れの軽減につながることがあります。
3. 放置してしまうと
疲れやだるさを無理に我慢し続けると、体の回復が追い付かず、風邪をひきやすくなったり、集中力が続かなくなったりします。肩や腰の痛みをそのままにすると、筋肉の緊張や血流の滞りが続き、慢性的な痛みにつながる場合があります。
また、ストレスや不安で眠れない状態が続くと、気分の落ち込みや意欲の低下が生じることもあります。
・疲労感やだるさが長期間続く
・肩や腰の痛みが強く、日常生活に支障がある
・ストレスや不安が強く、眠れない・やる気が出ない
こうした状態が続く場合は、内科・整形外科・メンタルヘルスなどの専門医に相談しましょう。
・内科:慢性的な疲労感、栄養不足、生活習慣病のチェック
・整形外科:肩こり・腰痛、姿勢や筋肉の状態の評価
・メンタルヘルス:ストレスや不眠、気分の落ち込みの相談
医師に相談することで、生活習慣の改善だけでは気づけない原因を見つけ、より適切なアドバイスを受けることができます。
感じ方や効果には個人差もあるので、早めに話を聞いてもらうことで、心身のバランスを整えるきっかけになることがあります。
まとめ
・体の疲れやだるさは、姿勢・運動不足・ストレスが関わっていることがあります
・セルフケアや生活習慣の工夫で軽くなる場合もあります
・もし改善が見られない、あるいは「これくらいで相談してもいいのかな」と迷うときは、内科・整形外科・心療内科に相談してみてください

