1 ロンドンってどんなところ？
2 ロンドンの医療レベル、医療制度は？
- 2.1 ロンドンの医療レベル
- 2.2 ロンドンの医療保険制度と事故事例
3 ロンドン周辺の病院
4 もしもロンドンで病気になったら
- 4.1 海外オンライン医療相談の紹介

ロンドンってどんなところ？

ロンドンのイメージ

ロンドンはイギリスおよびイングランドの首都で、2024年時点で人口970万人に達した大都市です。人口の約40％が外国出身という世界最大のコスモポリタン都市です。日本人も多く居住しており、外務省の都市別在留邦人数推計によると32,487人の居住者がいます。ロンドンは経済力が高く、特に金融、テクノロジー、クリエイティブ産業が盛んな都市です。ビジネスの中心地としてはシティ・オブ・ロンドンやカナリー・ワーフがあり、多国籍企業やスタートアップも多く集まっています。このような多様な環境は、在住日本人にとっても豊かな生活基盤を提供していると考えられます。

ロンドンの医療レベル、医療制度は？

ロンドンの医療レベル

ロンドンの医療レベルは基本的に高いですが、長い待機時間や一部地域でのリソース不足が問題視されており、これらを解消するための取り組みが続けられています。ロンドンの医療水準は高く、イギリスの医療システムであるNHS（国民保健サービス）に支えられており、すべての住民が基本的に無料で医療サービスを受けられる点が特徴です。
「ロンドンクオリティ基準（LQS）」の導入によって急性期医療の標準化が進められ、急病患者の診療水準を均一化し、医療提供体制の改善を目指しています。しかし、長年にわたる資金不足や医療人材の不足が課題であり、特に専門医の待機期間が長引くケースも多く報告されるなど、地域によっても課題が残っています。

ロンドンの医療保険制度と事故事例

イギリスの病院

ロンドンの医療保険制度

イギリスの医療制度はNHS（National Health Service）と呼ばれる、税金運営の国民保険サービスで運営されています。一部地域を除いて加入者は自己負担なく医師の診察を受けることができます。原則的に外国人でもNHSに加入することができます。症状に応じて開業医を選択できる日本とは異なり、NHSではどんな症状についても、原則的にまずはGP（General Practitioner：総合診療医）の診療を受ける必要があります。GPの診療後、必要に応じてより専門性の高い医師やサービス（専門医、理学療法など）への紹介が行われます。

長所

短所

原則無料で受信可能
小児定期予防接種が無償

多くのGP診療所が恒常的に混雑している結果、迅速な予約は取りにくいのが現状です。また、市販薬で対処可能な症状については薬が処方されず、薬局で薬剤師に相談するよう指示される場合もあります。
GPが「専門的な診察が必要」と判断してNHS専門医に紹介した場合でも、緊急性が低いと判断されると、実際に専門医を受診できるまでに数か月の待機を余儀なくされるのが一般的です。
NHSの歯科は予約が極めて取りにくく、また、行える治療内容にも制約があります。

ロンドンのプライベート医療サービス

NHSに対して民間の医療機関では、治療費はすべて患者の自己負担となります。旅行者や短期滞在者は救急の場合を除いてNHSを利用することは困難なため、これらプライベート医療機関を利用することになります。ロンドンを中心に、日本人医師の勤務するクリニック、日本人歯科医師の勤務する歯科医院があります。

長所	短所
NHSに比較し短時間で医師の診察を受けることが出来ます。また、NHSとは異なり、患者が自由に医療機関や専門医を選んで受診することができます。日系のプライベートクリニックには、受付から診療まで、すべて日本語で対応しているものが複数あります。	一般に診療費が高額になるため、緊急移送等がしっかりカバーされている旅行保険に加入されて渡英されるか、当地のプライベート医療保険に加入することを強く推奨します。プライベート医療機関では、原則的に救急対応は行っていません。

ロンドンの医療費の目安と実際にあった事故例

ロンドンの医療費については保険会社の実例でイメージすることができます。
（出典　価格.com イギリス（ロンドン）の医療費)

事故状況	治療・救援費用保険金支払額（円）
ホストファミリーと散歩中に胸の痛みを訴え受診。気胸と診断され25日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	9,580,000
熱・咳が続き受診。E型肝炎と診断され43日間入院・手術。家族が駆けつける。	5,600,000
留学中に激しい腹痛を訴え受診。卵巣嚢腫茎捻転と診断され4日間入院・手術。	4,510,000
ホテルのロビーで意識を失う。脳梗塞と診断され25日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	19,278,865
路上で暴漢に襲われ意識不明となる。頭部外傷と診断され41日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	11,244,970
イギリスに向かう途中、機内食が喉に詰まり、搭乗していた医師の治療を受ける。家族が駆けつける。	3,575,992
気分が悪くなり意識を失う。一過性意識障害と診断され12日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	4,534,565
ベッドから降りる際に転倒し手と足を強打。上腕骨･大腿骨頸部骨折と診断され17日間入院･手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。	4,970,000
バスルームで転倒し胸を強打、翌日観光中に顔色が悪くなり受診。血気胸と診断され3日間入院・手術。家族が駆けつける。	5,840,000
バトントワリング練習中、回転した際に側頭部より転倒し救急車で搬送。頚椎骨折と診断され11日間入院。家族が駆けつける。	4,000,000

ロンドン周辺の病院

ロンドンで医療サービスを受ける際のポイント

NHSの場合
- NHSで医療を受ける際には、まずGPの診察を受ける必要があります。更に必要があれば、GPからの紹介を受けて病院の専門医（Consultant）を受診します。GPによる紹介で病院治療を受ける専門医を受診する場合にはNHSに正式に加入する必要がありますが、外国人が加入する場合には、病院から「合法的に英国に滞在しており、英国に生活の拠点がある」との判断を受けなければならず、これが認められなかった場合にはプライベート医療を受診するよう求めらるため注意が必要です。
プライベート医療サービスの場合
- プライベート医療機関の受診に際しては、受診を希望する医療機関に直接連絡を取ってください（日系のプライベートクリニックの多くは日本語での対応が可能です）。NHSと異なり、直接専門医の診察を受けることも可能です。

ロンドンの医療機関リスト

ロンドンの在留邦人が利用している主な医療機関（プライベート医療機関）は下記です。
（出典　外務省海外渡航・滞在世界の医療事情英国）

病院	所在地	連絡先
ジャパングリーンメディカルセンター（アクトンクリニック・レディースクリニック）／Japan green Medical Centre Acton Clinic & Ladies Clinic	Unit 7, Acton Hill Mews, 310-328 Uxbridge Road, London W3 9QN	電話：(020)-7330-1750 ジャパングリーンメディカルセンターウェブサイト
ジャパングリーンメディカルセンター（シティクリニック）／Japan Green Medical Centre City Clinic	10 Throgmorton Avenue, London EC2N 2DL	電話：(020)-7330-1750 ジャパングリーンメディカルセンターウェブサイト（英語）
ロンドン医療センターLondon Iryo Centre	234-236 Hendon Way, London NW4 3NE	電話：(020)-8202-7272 ロンドン医療センターウェブサイト
セントラル・ジャパニーズ・クリニック／Central Japanese Clinic	1 Harley Street, London W1G 9QD	電話：(020)-7935-0523 セントラル・ジャパニーズ・クリニックウェブサイト
Dr伊藤クリニック／Dr Ito Clinic	96 Harley Street, London W1G 7HY	電話：(020)-7637-5560 Dr伊藤クリニック
キースコーヘン総合歯科医院　Acton診療所／Keith Cohen Dental Surgery, Acton	2b Gunnersbury Lane, Acton, London W3 8EB	電話：(020)-8993-2933 キースコーヘン総合歯科医院Acton診療所
高歯科医院／Ko Dental Practice	66 Wimpole Street, London W1G 8AW	電話：(020)-7935-5983 高歯科医院
奈美デンタルクリニック／Nami Dental Clinic	19A Canfield Place, London NW6 3BT	電話：(020)-7625-2722 奈美デンタルクリニック

ロンドンで入手可能な市販薬

ロンドンの薬局では処方箋不要で下記の薬を買うことができます。イギリスでは自己処理できる症状には市販薬を活用するのが一般的です。

市販薬名	効能、注意点
LEMSIP	主に風邪症状を和らげるための粉薬で、お湯に溶かして飲みます。のどの痛み、発熱、鼻づまりなど
Paracetamol	一般的な解熱鎮痛薬で、頭痛や発熱に効果的。
Aspirin	頭痛や炎症を和らげる。
Ibuprofen	頭痛や筋肉痛など様々な痛みに効果的な解熱鎮痛薬。
Strepsils	のど飴として人気のある商品で、のどの痛みを和らげます。
Sudafed	鼻づまりを解消する鼻スプレー。
Buscopan	腹痛やけいれんを緩和する整腸剤。