シンガポールってどんなところ?
シンガポールは都市全体でひとつの国として成り立っており、バチカン市国などと同様に都市国家と呼ばれる都市です。720㎢程度の国土に約600万人が居住しており、世界で2番目の人口密度です。平均寿命は83歳(日本と同等)である一方、平均年齢は39歳と日本の48歳よりも10歳若くなっています。 年間を通して寒暖の差がほとんどない常夏の島で、 中国系、マレー系、インド系など様々な民族が生活する多民族国家です。公用語は英語、マンダリン(北京語)、マレー語、タミル語です。製造業やIT、金融、観光など多様なビジネスに力を入れており、日本からも約800社以上の企業が拠点を置いています。外務省の都市別在留邦人数推計によると在シンガポール邦人数は31,366人であり、4年連続で減少していますが、世界で5番目の在留邦人数を誇る都市です。
シンガポールの医療レベル、医療制度は?
シンガポールの医療レベル
シンガポールの医療レベルは世界的に高く、医療技術や病院施設は日本と同等と言われています。医療制度世界ランキングではアジア、世界でもトップクラスです。国策として条件付きで外国の医師免許を認めており、日本人医師も増えています。また政府が医療ツーリズムを政策として掲げてり、多くの富裕層が治療目的で訪れます。シンガポールの医療体制は、イギリスの医療制度の流れをくんでいます。医師はGP(General Practitioner)と呼ばれる総合診療医とSpecialistと呼ばれる専門医に分かれており、まず最寄りのGPの診察を受け、解決しない場合に専門医を紹介してもらうのが一般的です。
シンガポールの医療保険制度と事故事例
シンガポールの医療保険制度
シンガポールでは、強制加入の総合的な社会保障貯蓄制度である中央積立基金(CPF)の一つとして、全国民が医療口座(MediSave)を持つことが義務付けられています。またMediSaveでは賄えない高額な治療費に対応するためのMediShield Life、低所得者向けのセーフティネットとしての
MediFundを含めた「3M」による三段構えとなっています。
MediSave
対象 | 適応条件 |
すべての国民と永住者が強制加入 | 自身とその家族の入院費用や慢性疾患の治療、予防接種、出産費用の一部に充てることができる。高額医療費をカバーするためのもので、風邪などの一般外来診療や外来処方については原則として適用されず、全額自己負担となる。 |
MediShield Life
対象 | 適応条件 |
MediSave加入者 | 入院費用や人工透析など、主に高額な医療費を終身保障する。保険給付には入院する病室のタイプ(ICUか普通病室か)や医療の内容などに応じて上限額が定められているが、永住者や私立病院を利用した場合などは、支給額はさらに割り引かれる。 |
MediFund
対象 | 適応条件 |
低所得者層 | 入院費用に充てる場合、エアコン付きのクラスA/B1の病室ではカバーされない。50%以上の政府補助金が適用されているクラスB2/Cの病室を利用する場合に適用される。 |
シンガポールの民間保険制度
民間医療保険加入者の9割はMediShield Lifeに保険料を上乗せする、統合シールド・プラン(Integrated Shield Plan: IP)を利用しています。統合シールドプランは保健省指定の民間保険会社7社を通じて加入することができ、公的保険では適用外となる私立病院や個室などの利用の費用をカバーすることができます。
シンガポールの医療費の目安と実際にあった事故例
シンガポールの医療費については保険会社の実例でイメージすることができます。
(出典 価格.com シンガポールの医療費)
事故状況 | 治療・救援費用保険金支払額(円) |
夕食中に呼吸困難の症状を訴え受診。心筋症・肺炎と診断され10日間入院。家族が駆けつける。 | 7,200,000 |
腰痛・歩行困難を訴え受診。 脊柱管狭窄症・椎間板突出と診断され4日間入院・手術。 | 5,030,000 |
激しい腰痛を訴え受診。子宮筋腫と診断され3日間入院・手術。 | 3,460,000 |
片目の視界が狭くなり受診。網膜剥離と診断され3日間入院・手術。 | 3,010,000 |
紫斑が現れ受診。急性骨髄性白血病と診断され55日間入院。家族が駆けつける。 | 8,116,384 |
強い頭痛を訴え救急車で搬送。くも膜下出血と診断され26日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。 | 5,531,543 |
階段で転倒し肘を強打。靭帯断裂と診断され9日間入院・手術。家族が駆けつける。 | 4,801,642 |
頭痛・嘔吐・発熱を訴え受診。結核性髄膜炎と診断され26日間入院。 | 5,740,000 |
クルーズ中に嘔吐・吐血、下船し救急車で搬送。胃炎と診断され7日間入院。家族が駆けつける。 | 4,400,000 |
発熱を訴え受診。腎盂腎炎と診断され14日間入院。家族が駆けつける。 | 3,380,000 |
シンガポールの病院
シンガポールの医療機関リスト
シンガポールの在留邦人が利用している主な医療機関(プライベート医療機関)は下記です。
(出典 JOHAC 海外勤務者のための医療・衛生情報)
病院 | 所在地など |
ラッフルズジャパニーズクリニック(RAFFLES JAPANESE CLINIC) 診療科目:一般診療(内科、小児科、皮膚科など全科目の初期診療)、予防接種、健康診断 | 住所:585 North Bridge Road #12-00 Raffles Hospital 電話:6311-1190(日本語) 電話:6311-2290(英語) |
杉野ファミリークリニック(SUGINO FAMILY CLINIC) 診療科目:一般内科、小児科、婦人科、皮膚科、外科、健康診断(要予約) | 住所:290 Orchard Road #11-01 The Paragon 電話:6235-1110、6533-0088(緊急時) |
シンガポール日本人会クリニック(JACS) 診療科目:一般診療(全科目)、心療内科(火・木曜の午後、完全予約制)、予防接種、健康診断 | 住所:120 Adam Road The Japanese Association 電話:6467-0070(日本語)、6469-6488 |
素子クリニック(MOTOKO CLINIC) 診療科目:産婦人科 | 住所:290 Orchard Road #11-13/14 Paragon Medical Suites 電話:6838-5366 |
グレニーグルス病院(Gleneagles Hospital) 診療科目:一般診療(緊急外科、一般外来など)、予防接種、健康診断(要予約) | 住所:6A Napier Road Gleneagles Hospital 3rd Level Annex Block 電話:6474-7707(日本語) 時間外緊急時はTel:6474-7707 |
シンガポールで市販薬を買うなら
シンガポールで市販薬を購入することができる薬局・ドラッグストアを紹介します。
Watsons
香港に拠点を置きながらアジアやヨーロッパに市場を広げる世界的なドラッグストア。シンガポールにも約100店舗ほどあり、そのうちの38店舗には調剤薬局も併設。品揃えの多さが魅力で、シンガポールの商品だけでなく、アジア各国やヨーロッパなど、世界中から集められた商品が並んでいます。
https://www.watsons.com.sg/
Guardian
国内126店舗を展開しているシンガポール最大のドラッグストアチェーンです。健康食品やサプリメントなど幅広い健康商品を取り扱っており、店舗によっては、患者ケアカウンセリング、調剤サービス、美容およびパーソナルケアソリューションなどの専門的なサービスを提供。
https://www.guardian.com.sg/
Eu Yan Sang(余仁生)
142年もの歴史を誇る漢方専門店の余仁生は、アジア圏内に170の店舗を展開。店頭では、数多くの漢方薬はもちろん、漢方薬としてのお茶やサプリメント、料理用のスパイスなど珍しい商品も。日本でなかなか手に入らない漢方はお土産にも人気です。
https://www.euyansang.com.sg/en/home
Nishino Pharmacy
DON DON DONKI
経済産業省.“医療国際展開カントリーレポート新興国等のヘルスケア市場環境に関する基本情報シンガポール編”.
https://healthcare-international.meti.go.jp/files/document/r4_2023fy/countryreport_singapore_vf.pdf, (2024/11/11)
価格.com保険.“シンガポールの医療費”.
https://hoken.kakaku.com/travel/select/cost/singapore/, (2024/11/11)
SingaLife online.“【2024年度版】シンガポールの厳選薬局5選!日本の医薬品やローカルの市販薬、お土産品などおすすめな商品もご紹介”.
https://singalife.com/category/52400/, (2024/11/11)
外務省領事局政策課.“海外在留邦人数調査統計”.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436737.pdf, (2024/10/31)
もしもシンガポールで病気になったら
海外オンライン医療相談の紹介
もしもシンガポールにいて病気になってしまった場合、すぐに現地医療機関で受診してもらえれば良いのですが、これまで述べたとおり、日本とは随分異なります。海外医療のシステムや医療レベル、薬や言語などを理解してサービスを受けるには時間と負荷がかかります。
症状が出ていて長い待ち時間が耐えられない方、病院を受診するか迷っている方は『YOKUMIRU海外オンライン医療相談サービス』を検討してみてはいかがでしょうか。自宅などからご都合の良い時間に、オンラインで日本人医師に相談して健康課題を解消しましょう。