密度だけじゃない!骨の健康を考えよう
骨の構造はビルに例えると、柱や梁の鉄骨部分と、中を埋めるセメント部分に分かれます。鉄骨とセメント部分の両方がしっかりしていることが、健康な骨の状態です。以前は、セメント部分の密度が低くなった状態を「骨粗しょう症」と呼んでいましたが、最近は鉄骨部分の「骨質」にも注目されています。
鉄骨部分はタンパク質で形成され、血糖値が高くなると糖がくっついて、AGE化(糖化)と呼ばれる状態になります。糖化した骨は、骨密度が低くなくても弱くなっていることが分かってきました。以前のコラムでもご紹介しましたが、AGEは骨にも大きな影響があります。今回は、骨の健康について探ってみました。
いつの間にか骨折している危険性も
現在は、密度と骨質を合わせて「骨強度」、骨強度が低い状態を「骨粗しょう症」と呼んでいます。骨強度は18歳頃ピークを迎え、年齢とともに下降します。18歳頃までにカルシウムを摂取して、しっかり運動をしていた人は「骨強度の貯金」がありますが、あまり運動せずカルシウム不足だった人は、骨粗しょう症になりやすいことが分かっています。特に女性は、最大骨量が男性の約7割しかないのと、閉経時にガクッと減るために骨粗しょう症になる人が比較的多くいます。
年齢にともなう骨量の変化(概念図)
出典:公益財団法人骨粗鬆症財団
骨粗しょう症は、全身の骨がもろくなっているため、つまずいたり、手をついたりした拍子に骨折する可能性が高くなっています。さらに背骨の圧迫骨折は「いつの間にか骨折」と呼ばれ、自分でも気づかないうちに骨折していることもあります。早期発見のためにも毎年身長を測り、一年に3センチ以上縮んでいたら骨折の可能性があるので、検査するようにしましょう。
骨強度を維持して骨粗しょう症を予防する
一度落ちた骨強度を増やすことは難しいので、栄養と運動で骨の健康を維持して、骨粗しょう症にならないように予防しましょう。骨粗しょう症の危険因子には、加齢など除去できないものと、食事や運動など生活習慣に関わる要因で除去できるものがあります。予防のためにも、除去できる危険因子を早めに取り除くようにしましょう。
除去できない危険因子
加齢、性(女性)、人種、家族歴、遅い初潮、早い閉経、過去の骨折
除去できる危険因子
カルシウム・ビタミンD・ビタミンK不足、リン・食塩の過剰摂取、極端な食事制限(ダイエット)、運動不足、日照不足、喫煙、過度の飲酒、多量のコーヒー
まずは、バランスの良い食事を摂るように努め、不足しがちなカルシウムを補給するために、乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、小魚を積極的に摂りましょう。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあるので、カルシウムと一緒に摂ると効果的です。ビタミンDは魚類に豊富に含まれているので、小魚はカルシウムとビタミンDが同時に摂れるのでオススメです。
毎日紫外線を浴びることと適度な運動
紫外線を浴びると皮膚にビタミンDができるのですが、女性は紫外線を避ける人が多いので、約85%の人がビタミンD不足という調査結果もあります。足や手のひらだけでも良いので、毎日15〜30分は日光に当たるようにしましょう。真夏の暑い日は、日陰でも十分です。ビタミンDは筋力維持にも効果的で、ビタミンDを多く摂っている人は、転倒が少ないというデータもあります。
そして、骨は負担がかかるほど骨を作る細胞が活発になり、強くなる性質があります。ジョギングや階段の上り下り、軽いジャンプなどで、骨に負担と刺激を与えてください。スクワットやウエイトトレーニングなども、腱を通じて骨に負担がかかるので効果的です。ご自分に無理のない範囲で、運動を続けましょう。
背中や腰に痛みのある方、骨の健康に不安がある方は、ヨクミルで相談してください。