
海外で暮らし始めてから、人間関係に疲れることが増えた。気軽に話せる友達ができず、ひとりで過ごす時間が多い。職場の同僚とうまく意思疎通ができない。近所の人との距離感がわからない――。
そんな悩みを抱えていませんか?
海外生活では、言葉や文化、価値観の違いによって、日本にいたときには気にならなかったことが、大きなストレスになる場合があります。「せっかく海外に来たのだから楽しまなければ」「自分で選んだ生活だから弱音を吐けない」と無理をしてしまう方も少なくありません。
しかし、人間関係に悩むのは、コミュニケーション能力が低いからでも、環境への適応力がないからでもありません。まずは、海外生活ならではの負担が重なっていないか、今の自分の状態を振り返ってみましょう。
海外ではなぜ人間関係のストレスが大きくなりやすいのか
海外では、言葉が通じても、言葉の受け取り方や会話の進め方まで同じとは限りません。はっきり意見を伝える文化もあれば、雑談やユーモアを重視する文化もあります。自分では丁寧に伝えたつもりでも、相手に意図が伝わらなかったり、相手の言い方を冷たく感じたりすることがあります。
また、身近に家族や長年の友人がいない環境では、日常の小さな出来事を話す相手が限られます。職場、学校、地域、在住日本人のコミュニティなど、一つの人間関係が生活の大部分を占めやすく、そこでつまずくと逃げ場がないように感じることもあります。
人間関係の問題だけに見えても、その背景には、慣れない生活による疲れ、言葉への緊張、孤独、睡眠不足、仕事や子育ての負担などが重なっているかもしれません。
例えば、こんな悩みをひとりで抱えていませんか?
・知り合いはいるが、本音を話せる友達がいない
・周囲が楽しそうに見えて、自分だけ取り残されたように感じる
・職場で意見を伝えられず、我慢することが増えた
・上司や同僚の言動が気になり、出勤前から憂うつになる
・近所付き合いや保護者同士の関係に気を使いすぎて疲れる
・日本人同士の狭いコミュニティで、距離の取り方に悩んでいる
・SNSで日本の友人の様子を見ると、寂しさや焦りが強くなる
・家族に心配をかけたくなくて、「大丈夫」と言ってしまう
一つひとつは小さな悩みに見えても、毎日続けば心は消耗します。「もっと頑張ればなじめる」「自分が気にしすぎているだけ」と片づけず、つらいと感じている自分の気持ちを認めることが大切です。
悩んでいるのはあなただけではありません
孤独を感じたり、人間関係に疲れたりすることは、決して特別なことではありません。外務省が令和5年に海外在留邦人を対象として行った調査では、程度の差はあるものの、「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」を合わせ、44.9%の人が孤独感を感じていると回答しました。国内調査の39.3%と比べ、5.6ポイント高い結果です。
さらに、この調査では回答者の9.7%が、「不安や悩みの相談相手がいない」と回答しています。強い孤独感を感じている人の割合は、相談相手がいる人では4.3%だったのに対し、相談相手がいない人では24.1%でした。相談相手の有無だけが孤独感の原因とはいえませんが、誰にも話せず、ひとりで悩みを抱えている人が少なくないことがわかります。
海外にいると、家族や親しい友人にすぐ会うことができず、現地の人には言葉や文化の違いから気持ちを伝えにくいこともあります。「自分だけがうまくなじめていない」と感じるかもしれませんが、同じような孤独や悩みを抱えている人は、決して少なくありません。慣れない環境で寂しさやつらさを感じるのは、無理もないことです。

人間関係に疲れたときにできること
まず、すべての人と良い関係を築こうとしなくても大丈夫です。相手との距離を少し置く、参加する集まりを減らす、返信を急がないなど、自分が消耗しすぎない距離を選びましょう。
また、「友達をつくらなければ」と考えると、かえって人と会うことが負担になる場合があります。趣味の集まりに一度だけ参加する、顔を合わせた人に挨拶する、オンラインで日本語を話すなど、小さな接点から始めてみるのも一つの方法です。すぐに親しい友人ができなくても、失敗ではありません。
悩みが頭から離れないときは、起きた出来事と自分が感じたことを分けて書き出してみましょう。「返事がなかった」という事実と、「嫌われたに違いない」という受け止め方を分けることで、別の可能性に気づけることがあります。食事、睡眠、運動など、生活のリズムを整えることも、心の余裕を取り戻す助けになります。
誰かに話すだけで 気持ちが整理されることがあります
悩みを身近な人に相談しにくいときは、利害関係のない第三者に話すことも有効です。誰かに話すことで、自分が何に傷つき、何を我慢していたのかが見えてくることがあります。
メンタルヘルスを専門とする医師への相談は、心の病気がある人だけのものではありません。「この程度で相談してよいのだろうか」と迷う段階でも利用できます。人間関係の整理の仕方、相手との距離の取り方、気持ちの伝え方などを一緒に考えることができます。日本語で話せる相手であれば、言葉を選びすぎず、文化的な背景も含めて気持ちを伝えやすいでしょう。
人間関係の悩みが続き、眠れない、食欲がない、涙が出る、何をしても楽しめない、仕事や家事に集中できない、動悸や頭痛、腹痛が続くといった変化がある場合は、心が疲れているサインかもしれません。つらさが強くなる前に、専門家へ相談することをおすすめします。
現地の医療機関を受診すべきか迷っている場合も、まず日本語で状況を整理し、次に取るべき行動を相談することができます。緊急性がある場合や、自分や誰かを傷つけてしまいそうな場合は、オンライン相談を待たず、現地の緊急窓口や医療機関へ連絡してください。

海外での人間関係の悩みを日本語で相談してみませんか?
海外で生活していると、周囲に人がいても孤独を感じることがあります。今の環境になじめないからといって、あなた自身に問題があるとは限りません。文化や言葉の違いの中で、これまで十分に頑張ってきたからこそ、心が疲れている可能性もあります。
YOKUMIRUでは、人間関係のストレスや孤独感、海外生活への適応、気分の落ち込みなどについて、メンタルヘルスを専門とする医師に日本語で相談できます。うまく説明できなくても、話がまとまっていなくても大丈夫です。誰にも言えずに抱えている気持ちを、まずは話してみませんか?
参考資料:
外務省「海外における邦人の孤独・孤立に関する実態把握のための調査(令和5年)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/kodokukoritsu.html


