耳鳴り(耳鳴「じめい」)は、周辺で音が鳴っていないのに、耳や頭の中で異音や雑音が聞こえる現象です。程度の差はありますが、10〜15%の人が経験していると言われています。飛行機の離着陸のような急激な気圧の変化、静かな部屋に入った時など、一時的な耳鳴りは誰にでも起こりうることですが、何日も続く場合や日常生活に支障をきたしている場合は注意が必要です。今回は、「耳鳴り」について探ってみました。
「耳鳴り」の種類と原因
耳鳴りは特定の病気ではなく、音が聞こえてしまう症状のことを指します。「キーン」「ピー」といった高い音や、「ゴー」「ジー」といった低い音が聞こえることがあり、難聴を伴うことも多くあります。現実には音がなく、本人にしか聞こえない「自覚的耳鳴(じかくてきじめい)」と、耳付近や耳管などで実際に何らかの音がしていて、それが聴こえている聴取可能な「他覚的耳鳴(たかくてきじめい)」に分類されます。
自覚的耳鳴(じかくてきじめい)とは?
文字通り自分にしか聞こえない耳鳴りのことで、耳鳴りの多くは自覚的耳鳴のことです。その原因としては以下のようなものがあります。
・音響外傷(騒音や爆発などにさらされる)
ライブなどで大音量を聞いたり、ヘッドホンで長時間大きめの音を聞いたりすることで、両耳の耳鳴り、痛み、難聴などが現れます。
・加齢(老人性難聴)
耳鳴りの一番多い原因で、耳の奥にある内耳の蝸牛(かぎゅう)部分の、音を感じ取る有毛細胞が老化によって壊れてしまうことが原因です。50、60代に多いですが、40代から起きる場合もあります。両耳の耳鳴りや難聴も現れます。
・メニエール病
内耳にある内リンパ液の調整バランスが崩れ、内リンパ腔という部分が拡大し平衡感覚に以上が生じて、数分から数時間の長時間の回転性めまいを突然起こす病気です。30〜50代女性に多く、めまいの前後に片耳だけの耳鳴り、吐き気や嘔吐、難聴、耳が詰まる感じも現れます。
またそれ以外にも、ストレス、睡眠不足、疲労なども、耳鳴りの引き金になりことがあります。
他覚的耳鳴(たかくてきじめい)
通常は耳の近くの血管から出る雑音で、脈拍毎に音が出ます。間欠的な耳鳴りと持続的耳鳴りの2種があり、間欠的な耳鳴りは、耳の周囲の筋肉が痙攣する音(プツプツ、コツコツ)が聞こえ、持続的な耳鳴りでは血液の流れる音(ドクンドクン、ザー)音が聞こえます。高血圧、血管病変、腫瘍など、さまざまな原因があります。脳動脈瘤や動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)、または心臓弁膜症等の血流異常に伴って発生するものなどもあります。
音の高さによる耳鳴りの違いは?
このほかにも聞こえている音で、難聴の種類や原因を分類することがあります。
高音性耳鳴り
「キーン」や「ピー」という金属音、蝉の鳴くような高音が聞こえ、耳をふさぐと音が大きく聞こえるのが特徴です。原因は、加齢による老人性難聴や、騒音のする職場で働き続けることで起こる騒音性難聴などが考えられます。
低音性耳鳴り
耳が詰まったような感覚があり、「ゴー」「ジー」といった低い音が聞こえます。気圧が急変したときや、ストレスが溜まったときに起こりやすい症状です。実際に耳が詰まっている中耳炎や耳垢塞栓(じこうせんそく)、メニエール病、突発性難聴などの場合があります。
耳鳴りの多くは、特に身体的に害がなく心配のないものがほとんどですが、まれに突発性難聴や重篤な病気の初期症状の場合があります。また、耳鳴りでストレスを感じて眠れなかったり、自律神経のバランスを崩したりして、さらに悪化することもありますので、気になるときは早めにヨクミルで相談してください。