友人にも相談しにくい不正出血を医師が解説
海外移転などで環境が大きく変わったり、大きなストレスを感じたりすると、体調を崩してしまうことがあります。特に女性は、月経周期の乱れや月経と無関係の出血があると、「どこか悪いのかな・・・?」と不安になりますよね。今回は月経の基礎知識と、身近な人にも相談しにくい不正出血の原因などについて、専門医に解説してもらいました。
月経周期は、女性ホルモンの分泌によって調整され、個人差はありますがほぼ一定に保たれています。開始日から開始日まで25~38日、周期の変動は6日以内で、月経期間は4~7日、月経量は30~140mlです。この範囲を外れる場合は「月経異常」になり、月経期以外に膣から出血がある場合を「不正出血」といいます。
不正出血の原因と考えられる病気
不正出血は、ホルモンバランスの乱れや病気のサイン、妊娠に関わることもあります。主な原因には、下記のようなものがあります。
1 炎症(膣炎)によるもの
クラミジア、淋病、トリコモナスなど性感染症や、大腸菌などの雑菌によって起こる。萎縮性膣炎、細菌性膣炎など。
2 卵巣機能の異常によるもの
ホルモンバランスの乱れが原因。思春期、更年期などホルモンバランスが乱れやすいときに比較的多い。卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群による月経異常など。
3 良性の腫瘍
子宮頸部または内膜のポリープ、子宮筋腫、卵巣腫瘍などが原因で起こる。出血の量が多くなったり、長引いたりすることがある。少量出血が頻回に起こることも。
4 子宮膣部びらん
若い女性では一般的にみられる状態。子宮頸がんの初期症状のこともある。
5 悪性の腫瘍
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、子宮肉腫、膣がんなどの病気が原因。
6 妊娠に関連するもの
着床時の出血、流産、異所性妊娠など。
中でも特に多いのは、子宮頚部や内膜のポリープ、卵巣機能不全、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮頸がんまたは子宮体がんです。他にも凝固因子の欠損、排卵障害、ホルモン系製剤投与によるものなどもあります。それぞれの病気を簡単に解説します。
子宮頚管、内膜ポリープ
子宮の入り口(頚部)や奥の方(内膜)にできたポリープ。多くは良性の腫瘍で、1センチ以下~数センチのものがある。
卵巣機能不全
過度なダイエットや肥満、加齢やストレスによって引き起こされる、ホルモンバランスの乱れ。
子宮膜筋症
子宮の内側(内腔)に位置する子宮内膜に類似した組織が、子宮筋の中にできる病気。
子宮筋腫
子宮筋層に発生する良性の腫瘍で、女性ホルモンの影響を受け大きくなる特に内膜に近いものだと、不正出血の原因になりやすい。
子宮頸がん
主にHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が原因で起きる。近年10代後半から20代と若い世代の発症率が増加していて、若い世代に多い。
子宮体がん
子宮内膜に発生するがん。若い人も稀に発症するが、40代後半から発症率が高くなる。
放置しても大丈夫?受診する目安は?
このように不正出血を起こす原因は、数多くあります。新しい血液は赤いですが、古い血液は茶色、わずかな出血では黄色のこともあり、分かりにくいことも多いです。また、どこからの出血か自分では判断できないことも多く、尿や肛門からの出血の場合もあります。排卵期に起こる中間期出血など病気でないものもありますが、なかには重大な病気の症状のこともあるので注意が必要です。
出血量が多い場合は貧血になることもありますので、不正出血が3日続いたときは、医療機関などで検査をするようにしてください。特に、痛みなど他の症状を伴う場合、出血量が多い場合、閉経後の不正出血は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
なかなか病院が予約できない、どんな検査が必要か分からない、医師への説明の仕方が分からない、出血は止まったけど不安があるなどは、ヨクミルで婦人科医に相談してください。