【医師監修】作り笑いでも効果がある?! 笑顔がもたらす心身の健康効果を医師が解説

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以前のコラムで、涙を流すことは、心のデトックス効果やリラックス効果があると紹介しました。同様に、「笑うこと」にも心身の健康に対して多くの効果があるという話をよく聞きます。今回は「笑顔の効果」について専門医に教えてもらいました。

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笑顔がもたらす心身の健康効果

あなたは毎日笑っていますか?ある調査によると、子どもは1日に400回笑うのに対して、大人はわずか11回~15回しか笑わないそうです。最近、「笑うこと」が心身の健康に効果的だということが医学的にも実証されつつあり、病気の予防や治療においても注目を集めています。例えば、プロ野球選手の写真を調べたところ、笑顔が少ない選手の平均寿命が72.9歳に対して、笑顔が多い選手は約80歳だったというウェイン大学の研究結果があります。このように寿命が7歳延びるなど、笑顔の効果にはどんなことがあるのか主なものを紹介します。

① 笑うことで免疫力アップ!

免疫機能は年齢とともに低下し、病気の発症率が高くなります。若くて健康な人の身体でも、1日3000〜5000個の癌細胞が発生していて、この癌細胞や体に入ったウイルスなどと戦っているのが、リンパ腫の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞です。NK細胞を活性化させることが、免疫機能のカギを握っています。
お笑い番組などで大笑いした後には、NK細胞が平均35%~45%アップし、中には50%近くアップしたという調査結果があります。他にも大阪国際がんセンターが、患者や看護師など120人に行った研究では、「笑い」によって免疫細胞が増加し、緊張や抑うつ・疲労などの心身の状態が改善したという報告もあります。

② ストレス解消・リラックス効果

私たちの身体は、交感神経と副交感神経の自律神経が働いていますが、笑うことによって身体をリラックスさせる副交感神経の働きが活発になり、不安や緊張などのストレスを緩和させることができます。また、笑顔になることで脳内には幸せホルモンと言われるセロトニンや、痛みを抑え気分が高揚する作用のあるといわれるエンドルフィンが分泌され、ストレスが解消されプラス思考になると言われています。

③ 脳の働きを活発にする

ストレスなどで脳が緊張状態になると、酸素が不足して脳の働きが鈍くなります。笑っている時は、脳がリラックスして多くの酸素を取りこむことができ、働きが活発になります。記憶をつかさどる脳の「海馬」も笑うことで活性化するため、記憶力や思考力のアップや、ボケ予防にも繋がります。

④ 血糖値の上昇を抑える

食後の血糖値が著しく上昇する糖尿病患者が、笑うことで血糖値を下げることができるという研究結果があります。漫才を観て笑った後の方が、食後血糖値の上昇が約63%に抑えられていました。また、1日2時間ほど、お笑いビデオを見て笑うようにしたところ、140を超えていた空腹時の血糖値が正常値の106になるなど、70%の人に改善が見られました。この研究をもとに、行政でも「笑いながら体操をして健康維持を図る」取り組みをしたところ、参加者の医療費を23%減らすことができたそうです。

⑤ スポーツのパフォーマンスが上がる

健康効果とは少し違いますが「パフォーマンスが上がる」と言われ、笑顔の効果はアスリートにも注目されています。ピンチの時には身体が緊張しがちですが、笑顔になることで心身を落ち着かせることができます。10年ほど前から、甲子園球児にも窮地に立たされた時に笑顔を作る選手が増えてきました。笑顔は脳にポジティブなシグナルを送り、幸福感や満足感を生み出すエンドルフィンの放出を促し、プレッシャーがかかる状況でも落ち着いてプレーができると考えられています。

笑う真似だけでも効果が期待できる

フランスの哲学者で『幸福論』の著者アランは、「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」という言葉を残しています。実は心から喜んでいなくても、笑顔を作るだけで幸福感が得られることが分かっています。神経伝達物質のドーパミン神経は、だまされやすいと言われていて、口角を上げて笑顔の表情を作ることで、表情筋の動きが脳に伝わり楽しいと感じる部分を刺激します。

笑顔の表情を作るだけでも多くの健康効果が期待できるので、毎日「笑顔」でいることが習慣づけられると良いですね。体調によっては、どうしても気持ちが落ち込んでしまい笑顔を作ることが難しいときもあります。そんな時や、ほかに気になる症状がある時は、気軽にヨクミルで相談してください。自分の気持ちを誰かに話すだけでも、気持ちがスッキリしますよ。

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監修者プロフィール
相談科:
  • 精神科(メンタルヘルス)
専門領域:
  • 精神科(メンタルヘルス)
大迫おおさこ 鑑顕のりあき先生
総合病院の精神科や心療内科勤務で、うつ病や不安障害などの一般的な精神疾患に加え、身体疾患に伴うメンタルヘルスの問題や緩和医療領域などを幅広く経験。産業医としても、労働環境や人間関係に起因する心理的な問題の相談を受けてきました。現在はスペインで、行動依存の治療法を研究しています。
著者アイコン 著者プロフィール
中野なかの 紗瑛さえ
文具メーカーでプロダクトマネージャーを担当後、システム開発販売会社で販売促進やイベント企画を経験。その後、フリーのプランナー・コピーライターとして、商品企画と販売促進全般、店舗、経営者、政治家、医者などの取材、ライティングを数多く手がける。2021年より、YOKUMIRU株式会社のブランディングマネージャーに就任。医療、健康、美容、飲食系のライティングを得意としている。
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