【医師監修】これだけは知っておきたい! 遠隔医療の基礎知識分類詳細ガイド

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これだけは知っておきたい!遠隔医療の基礎知識分類詳細ガイド

遠隔医療の背景と現状

 COVID-19パンデミックを経た現在、遠隔診療は全世界で急速な発展を遂げました。遠隔診療先進国は米国、中国、英国と言われており、COVID-19パンデミック以前から遠隔診療制度に関する法整備を進めてきました。感染リスク回避や医師不足などの要因が各国の遠隔診療サービス、アプリ技術の発展に大きく寄与しました。また遠隔診療発祥国として知られるカナダでは、医療アクセス困難な先住民族の課題解決のために遠隔医療が発展してきた歴史があります。

 一方で日本の遠隔医療の普及は遅れをとっています。その大きな要因として、遠隔診療アプリの発展の遅れ、診療報酬制度の規制や遠隔医療教育の欠如が挙げられます。今後は通信技術やAI技術の目まぐるしい進歩によって、日本の遠隔医療の発展が期待されています。

医療に関する基礎用語

『診断』『診察』『診療』とは?

 遠隔医療、医療分野においては、まずさまざまな専門用語を理解する必要があります。全てを網羅することはしませんが、基礎的な医療用語と法律について触れておきます。まずは『診察』『診断』『診療』の定義の整理をします。

 『診察』とは医師が患者の病状を調べることです。医師法第20条にいう「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、 現代医学から見て、疾病に対して一応の判断を下し得る程度のものとされています。
 『診断』とは一般的に、「診察、検査等により得られた患者の様々な情報を、確立された医学的法則に当てはめ、患者の病状などについて判断する行為」と定義されています。
 言い換えると、疾患の名称、原因、現在の病状、今後の病状の予測、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為を診断と言い、医行為となります。
 『診療』とは、医師が患者に対して診察・診断・治療を行うことの総称であり、前述の診断が含まれています。

 

医療行為、『医業』と『医行為』とは?

 医師と医師以外の医療従事者が役割分担をして医療サービスは提供されます。医師でなければできない「医療行為」ですが、その範囲は必ずしも明確ではありません。遠隔医療の理解において、医療行為の内容を明らかにする必要があります。
 医師や歯科医師でなければ医療行為を行えないということは医師法第17条で定められています。

医師(歯科医師)でなければ、(歯科)医業をなしてはならない。

医師でなければ行うことができない「医業」とは何を意味するのでしょうか。「医業」とは、反復継続する意思をもって(=業として)、医行為をなすことと判断(最判昭和28年11月20日 刑集7巻11号2249頁)しています。
 「医行為」については、「医療及び保健指導に属する行為のうち、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」という判例基準が示されています。(最判令和2年9月16日 刑集74巻6号581頁)

医療行為に該当する行為、該当しない行為の分類・整理(平成17年7月26日付け通達)

医行為に該当するとされているもの①用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為(レーザー脱毛)
②針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為(アートメイクなど)
③酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為(ケミカルピーリング)
医行為に該当しないとされているもの①体温計を用いた体温測定
②自動血圧測定器により血圧測定
③新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること
④軽微な切り傷や擦り傷、やけど等の処置で専門的な判断・技術を必要としないもの(ガーゼ交換を含む)
⑤一定の条件のもとで行う軟膏の塗布、湿布の貼付、点眼薬の点眼、内用薬の内服、座薬挿入、点鼻薬の噴霧介助通常の範囲内の爪切り、歯磨きなどの口腔内の清掃、耳掃除、ストマ装具のパウチにたまった排泄物の廃棄、自己導尿の補助、市販薬による浣腸

 

参考:“昭和二十三年法律第二百一号医師法”. e-GOV法令検索.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000201#:~:text=%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%8D%81%E6%9D%A1%20%E5%8C%BB%E5%B8%AB,%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%93%E3%81%AE%E9%99%90%E3%82%8A%E3%81%A7%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82, (参照2024-04-03)

オンライン診療の法的解釈

 オンライン診療を理解する上での前提となる基礎知識は、以上です。医療行為に該当するオンライン診療ですが、法的には下記のように解釈されています。
 医師法第20条では、診察をせずに処方せんを交付するなどして違反した場合、50万円以下の罰金が科されます。ここでいう「診察」は、厚生労働省の通知(健政発第1075号)で「問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のもの」と定められています。
 同通知では、原則としては対面での診察が好ましいものの、遠隔医療への対応、患者の通院負担など、対面診療を行うのが困難なこともあることから、対面診療を補完するものとして、オンライン診療も認められています。オンライン診療は、この解説の通り医師法第20条には抵触しないとされています。

 

遠隔医療に関する基礎用語

 遠隔医療は、遠隔健康医療相談やオンライン診療を含む、オンライン上で行う医療サービスのことを指します。厚生労働省『オンライン診療の適切な実施に関する指針』によると、遠隔医療とは、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為のことであり、下記表で示されている通り、遠隔医療に関する知識が理解に役立ちます。

遠隔医療に関する基礎用語

遠隔医療の分類

遠隔健康医療相談(オンライン医療相談)とは

 遠隔健康医療相談(以下 オンライン医療相談)とは、医師もしくは医師以外の人が健康相談を行うことができるものです。診察ではなく、あくまでも「相談」の範囲となり、遠隔医療の中では最も手軽なサービスです。

オンライン受診勧奨とは

 オンライン受診勧奨とは、情報通信機器を通して医師が患者の診察を行い、医療機関への受診勧奨をリアルタイムにより行うことです。患者の症状、問診の情報収集に基づき、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を伴います。
処方等を行うことなどはオンライン診療に分類されるため、これらの行為はオンライン受診勧奨により行うことはできません。

オンライン診療とは

 オンライン診療とは、遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行うことです。
 スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使って、自宅等にいながら医師の診察や薬の処方を受けることができるのが特徴です。

 オンライン診療は、直接の対面による診療と異なり触診等ができないため、医師が得られる情報が限られます。そのため、以下のようなルールがあります。

  • オンライン診療は、対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本です。
  • 適切な診療のため、一部の場合を除き、原則、かかりつけの医師が実施します。
  • 医師がオンライン診療による診療が適切でないと判断した場合には、利用できません。

※かかりつけの医師とは、日頃から直接の対面診療を行っているなど、すでに患者と適切な関係がある医師のことをいいます。
※かかりつけの医師がいない場合は、オンライン診療を実施しているお近くの医療機関にご相談ください。

オンライン診療

オンライン受診推奨遠隔健康医療相談(医師)

遠隔健康医療相談(医師以外)

指針の適用

⚪️⚪️(一部適用外)××

情報通信機器を通じた診察行為

⚪️⚪️××

情報通信手段のリアルタイム・同時性(視覚・聴覚を含む。)

⚪️

(文字などのみ不可)

⚪️

(文字などのみ不可)

(必須ではない)

(必須ではない)

初診

×(例外あり)⚪️

処方

⚪️×

受診不要の指示・助言

⚪️⚪️⚪️

一般的な症状に対する罹患可能性のある疾患名の列挙

⚪️⚪️

患者個人の状態に対する罹患可能性のある疾患名の列挙

⚪️⚪️××

一般用医薬品の使用に関する助言

⚪️⚪️⚪️⚪️

患者個人の心身の状態に応じた医学的助言

⚪️⚪️⚪️×

特定の医療機関の紹介

⚪️⚪️⚪️⚪️

 

参考:厚生労働省.“オンライン診療について”. 厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/stf/index_0024_00004.html, (参照2024-04-03)

厚生労働省.“オンライン診療の適切な実施に関する指針”. 厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001233212.pdf, (参照2024-04-03)

津 田 万 里.森 屋 宏 美.浦 野 哲 哉.“世界と日本の遠隔診療の現状と遠隔診療に対する学生教育の展望”. 医学教育 2021,52(3): 271~277.(2021)https://www.jstage.jst.go.jp/article/mededjapan/52/3/52_271/_pdf, (参照2024-04-15)

 

まとめ

 遠隔医療に関する基礎知識を整理し、今回のポイントをまとめました。

・診察、診断は医行為であり、診療とは診察・診断・治療を行うことの総称のこと。
・オンライン診療は医療行為に該当し、オンライン医療相談は診察行為は行えず、相談のみ可能。
・遠隔医療の中で処方が行えるのはオンライン診療のみ。
・オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本であり、かかりつけ医師が実施する。
・国外でオンライン医療を享受できるのはオンライン医療相談サービス。

世界でも遠隔医療の発展は目まぐるしく、医師不足や医療費など様々な問題解決として期待されています。自身の状況に応じて、適切なサービスを活用しましょう。

 

YOKUMIRU株式会社について

yokumiru.jp『日本発の「安心」で世界を満たす。』を企業理念とし、2022年に設立。海外で活躍している日本人のためのオンライン医療相談サービス「ヨクミル」、海外勤務中の従業員の健康管理で安全配慮義務や健康経営へアプローチできる法人向けオンライン医療相談サービス「法人向けヨクミル」を提供しています。
世界中どこにいてもお手持ちのパソコンやスマホのアプリを利用して、手軽に日本人専門医に医療相談ができます。

 

 

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監修者プロフィール
相談科:
  • 耳鼻咽喉科
専門領域:
  • 耳鼻咽喉科
野田のだ 一郎いちろう先生
耳鼻咽喉科専門医。 福井医科大学(現福井大学医学部)卒業。 海外に赴任した患者さんから海外医療に関する不安を多数聞いて、「インターネット上で相談することで、不安を解消できるのではないか」と思いつき、YOKUMIRUシステムを共同開発した。自身も留学経験があるため、海外在住邦人の不安に寄り添い、親身になって相談に乗ってくれると定評がある。
著者アイコン 著者プロフィール
地方自治体にて起業支援・地域振興業務に従事後、コワーキングスペースの立ち上げ、イベント運営やクラウドファンディング、補助金事業サポートなど多数経験。事業立ち上げで培ったコンテンツマーケティングの経験や人的ネットワークを活かし、YOKUMIRU株式会社の海外に関する記事を担当。多方面にわたる情報収集力に長け、趣味の海外旅行で集めた情報も盛り込み、ブログを執筆している。
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