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フィリピンの基本情報
太平洋に浮かぶ7000もの島からなる国、大都市マニラと大自然の素朴な島の暮らしが魅力
フィリピンの面積は、298,170平方キロメートル(日本の約8割)で、大小7,641の島々があります。マニラ首都圏を含むルソン地方、ビサヤ地方(中心都市セブ)、ミンダナオ地方(中心都市がダバオ)という大きく3つの地域に分けられています。人口は、1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査 ※注 5年ごとの改訂:世銀等による毎年の発表は推計)、在留邦人数は、15,728人(2021年12月時点。在留届ベース海外在留邦人数調査統計2021年版)です。
首都はマニラで、首都圏の人口は約1,348万人(2020年フィリピン国勢調査)。他にアプリコット島、イロイロ、ザンボアンガ、タガイタイ、ダバオ、パマリカンなどの都市があります。民族はマレー系が主体で、ほかに中国系、スペイン系及び少数民族がいます。国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語ですが、180以上の言語があります。
宗教は、ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)です。マニラ首都圏はフィリピン最大の経済圏で、2018年の国家全体のGDPに占める割合は37.5%でした。次いで多くの工業団地が集中するカラバルソン地方が14.8%、クラーク(パンパンガ州)やスービック(サンバレス州)などの主要な経済地区を含む中部ルソン地域が9.3%、次いでフィリピン第2の都市であり、多くの輸出型製造業や大規模な小売店の進出も多いセブ都市圏を含むビサヤ地方が6.6%です。
主要産業は、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を含むサービス業(GDPの約6割)、鉱工業(GDPの約3割)、農林水産業(GDPの約1割)(2021年・出展:フィリピン国家統計局)で、電子・電気機器(半導体が大半を占める)、輸送用機器などを製造して、アメリカ、中国、日本などに輸出しています。
米や醤油が基本の馴染みやすい食文化明るい国民性と日本からの近さも人気
フィリピンは、日本から約4時間半で行ける東南アジアで最も近い国です。英語圏で親日国なので、第二の人生を考える方にも若い方にも人気です。マカティ市であれば空港から約30分で移動できます。何かあれば駆けつけることが出来る距離であるため、単身赴任して頻繁に日本に帰るということも実現できます。
フィリピン料理は日本人にあまり馴染みがないですが、タイや中東のような香辛料の強いものがなく、基本的には米・醤油・酢・砂糖・塩と日本人に馴染みのある味付けになっています。マニラ、マカティには必ず日本食のレストランがあり、ファストフード店にも必ずお米のメニューがあります。乾季の時期は露店で焼き鳥や果物を販売しており、生活には困りません。日本食材を扱うスーパーもあるため、自宅で日本食を作るにも問題ないでしょう。
フィリピンでは、日常生活は簡単な英語のコミュニケーションで行えます。親日の国なので、人付き合いが苦手な方でも「フィリピンに移住したら明るく人とコミュニケーションが取れるようになった!」などとよく聞きます。
語学が堪能でない方に対しても、こちらの話を聞いて理解をしようとしてくれます。穏やかで、にこやかな人柄で、ラテン系なので歌ったり踊ったりしている姿をよく見かけます。優しさや温かさを感じられる国民性で、他人へのホスピタリティも高く、家族も他人も大切にします。母子家庭など子供を抱える日本人移住者も多いですが、フィリピンの誰の子供でも優しく自分の子ように接するという器の広さが、子育てにも最適な国と言えます。
フィリピンの衛生・医療事情
島々や地域によって流行する疾患が異なる都市部と地方の医療格差にも注意
フィリピンは熱帯モンスーン気候帯に属し、高温多湿であるものの、年間を通じて平均気温は27度と過ごしやすい気候です。比較的雨の少ない乾期(12月から2月)、厳しい暑さが続く暑期(3月から5月)、蒸し暑くなる雨期(6月から11月)に季節分けされています。
雨期には水害が発生しやすく、衛生状態が悪化し、汚染された飲食物による食中毒や感染性腸炎が流行します。また、蚊が発生しやすく、毎年デング熱の流行も認められています。国土は7,000余りの島々から成り立っており、それぞれの島や地域によって流行する疾病が異なることも特徴の一つです。
マニラ首都圏の衛生状態は年々改善されつつあるものの、排気ガスによる大気汚染がひどく、年間を通じて呼吸器系の疾患が多く認められています。
医療水準は、都市部と地方の格差が大きく、マニラ首都圏では近代的な設備を整えた私立総合病院で最先端の医療を受けることも可能ですが、地方都市では医療施設の老朽化が進んでいるほか、衛生状態も悪く、安心して医療を受けられる水準には達していません。
かかりやすい病気・ケガ
(1) 食中毒 | 当地で最も頻繁に見られる疾患です。主に、細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症します。主な症状は腹痛・嘔吐・下痢ですが、発熱や倦怠感・血便等を伴うこともあります。人から人へ直接うつることはありませんが、吐物や排泄物を介して感染することがあります。 |
(2) デング熱 | デングウイルスを有する蚊に刺されることで感染します。潜伏期間は4~7日間で、突然の高熱・頭痛・関節痛・発疹が主症状です。地方都市を中心に毎年流行し、年間10~20万人の感染者が報告されています。最も重要な予防策は、肌の露出を避け、虫除けスプレーを使用するなど、蚊に刺されないようにすることです。 |
(3) ジカ熱 | 2016年以降、中南米や東南アジアで流行しているジカウイルス感染症が、フィリピン国内でも報告されています。デング熱と同様に蚊に刺されることによって感染します。症状は比較的軽いことが多いですが、妊婦が感染すると先天奇形などの原因となることが知られており、蚊に刺されないように注意が必要です。 |
(4) マラリア | マラリア原虫を有する蚊に刺されることで感染します。潜伏期間は2週間程度であることが多く、デング熱と同様に高熱や頭痛・関節痛といった症状が認められます。マニラ首都圏やセブ島での流行は認められていませんが、特定の地域では感染が確認されていますので、渡航前に流行の有無を確認されることをお勧めします。予防策は蚊に刺されないようにするほか、抗マラリア薬を予防的に服用する方法があります。 |
(5) A型肝炎 | 感染者から排泄される糞便で汚染された飲食物(野菜・水・魚貝類等)を経口摂取することによって感染します。発熱・全身倦怠感・食欲不振が主な症状です。渡航前の予防接種を強く勧めます。 |
(6)狂犬病 | 当地では毎年多くの人が狂犬病で亡くなっています。発症後の死亡率はほぼ100%で、そのウイルスは犬のみならずコウモリやネズミなどの野生動物も有するため、動物に噛まれた場合は、直ちに医療機関を受診してください。 |
(7)麻疹(はしか) | ワクチンで予防が可能ですが、当地では接種率が低く流行を認めます。ワクチン2回接種(1歳時および学童期以降)を完了していない方は、ワクチンの追加接種をお勧めします。 |
(8)ポリオ | ワクチンで予防が可能ですが、当地では接種率が低く2019年に新たな国内患者の発生が確認されました。渡航前の追加接種をお勧めします。 |
(9)結核 | 世界保健機関(WHO)はフィリピンを「結核高まん延国」に指定しています。薬の効きにくい多剤耐性結核(MDR-TB)も多く認められています。貧困層では充分な治療が行われていないことが多いため、注意が必要です。
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(10)HIV /エイズ・性感染症 | HIV感染を含む性感染症が流行しています。節度ある行動が求められます。 |
フィリピンで健康上心がけること
(1)生水や水道水は飲用に適していません。屋台や路地で販売されている飲食物も衛生上問題があります。食中毒予防のため、食事はホテルあるいは清潔なレストランで、よく加熱調理されたものを食べるようにしてください。
(2)日差しが非常に強く、湿度が高いため、外出する際には日焼け止めを使用し、帽子着用の上、こまめに水分を補給するよう心掛けてください。
(3)地方や農村部では、蚊にさされないよう、長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用してください。
(4)狂犬病予防のため、不用意に動物に手を出さないよう注意してください。(5)首都圏を中心に大気汚染がひどいため、外出後の手洗いとうがいを励行してください。
フィリピンの病院では診察の際、医師やその他職員とは英語で会話が可能です。
「もしもの時の医療英語」を参考にしてください。
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