現地の医療健康情報から知るタイ生活

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タイで暮らすための気候や地域性などの基本情報から医療事情、病気や怪我したときの注意事項などを紹介しています。

タイの基本情報

600年にわたり日本と伝統的に友好関係を維持

タイの面積は、51万4,000平方キロメートルで日本の約1.4倍の広さで、人口は6,617万人(2021年・タイ内務省)、在留邦人は81,187人(2020年10月)です。81,187人が暮らす首都バンコク(2020年10月)のほか、ノンタブリー、パックレット、ハートヤイ、チャオプラヤ・スラサック、スラートターニー、ウドーンターニー、チェンマイなどの都市があります。主要都市のほとんどがバンコクの衛星都市で、バンコク都市圏に人口が一極集中しています。大多数がタイ族で、華人とマレー族等が少数存在します。公用語はタイ語。宗教は、仏教が94%、イスラム教5%となっています。
日本とタイの両国は、600年にわたる交流の歴史を持ち、伝統的に友好関係を維持しています。長年の両国の皇室・王室間の親密な関係を基礎に、政治、経済、文化等幅広い面で緊密且つ重層的な関係を築いており、人的交流は極めて活発です。
1980年代後半以降、日本企業は円高を背景に積極的にタイに進出し、タイの経済成長にも貢献してきました。現在、タイ進出日系企業数は、5,856社(2021年3月JETRO調査)を数えます。1997年7月に顕在化した通貨経済危機に関して、日本は大規模な資金的・人的協力を実施しました。2007年、日タイ経済連携協定の発効により、両国の経済関係の更なる緊密化が期待されます。またメコン地域開発を進める上での日本の重要なパートナーです。

地方自治体や中小企業もタイ進出へ

就業者の約30%は農業が占めますが、GDPでは10%未満にとどまります。一方、製造業の就業者は約15%ですが、GDPの約30%と最も高い割合を占めています。タイの貿易全体に占める対日貿易の割合は、輸出で9.8%、輸入で13.4%(2019年)で、日本にとってもタイは、東南アジア地域における重要な生産拠点かつ市場です。
タイから日本へ輸出されているのは、主に自動車・同部品、加工・冷凍鶏肉、電子機器・同部品などで、日本からタイへの輸入は、機械・同部品、鉄・鉄鋼製品、電子機器・同部品などです。
近年では、日本の地方自治体によるタイとの関係を構築しようとする動きが多く見られます。2018年は、12道県の知事、副知事が、観光客誘致及び食品輸出促進のためのトップセールスや県内中小企業の進出支援などのためにタイを訪問しました。この背景には、東南アジア諸国の経済成長に伴うマーケットの拡大と共に、中国への進出を巡る環境の変化に伴う売り込み先の多角化の他、2013年7月に実施された短期査証免除措置による訪日タイ人観光客の増加、地方からも引き続き中小企業を中心とする企業のタイ進出が続いている事などが上げられます。
また、タイ国内の日本語学習熱は高く、日本語学習者は約18万5千人(前回2015年調査比約6%増)、日本語教育機関は659機関(同比約8.7%増)以上あり、共に増加傾向にあります(2018年度日本語教育機関調査)。アジア文化交流懇談会の政策提言に基づく形で、2014年度から「日本語パートナーズ派遣事業」が開始され、タイにおける日本語教育の質的量的向上が期待されています。

 

[参考]Data Commonsプレイス エクスプローラ

タイの医療・衛生事情

3つの季節それぞれの過ごし方に注意!

タイ王国は国土の大部分が熱帯モンスーン気候に属し、地方によって季節が異なります。バンコクでは、11月から2月までの乾季、3月から5月までの暑季、6月から10月までの雨季の3つの季節に分けられます。乾季は最高気温が30℃前後で、平均湿度も50%前後と低く比較的過ごし易いですが、大気汚染と相まってカゼ等の呼吸器疾患の多い季節です。暑季は最高気温が35℃前後に達し、外を歩くと疲労し易く十分な休養が必要です。雨季は暑季に比べ気温は下がるものの湿度が高く、食中毒などを起こしやすい季節です。

医療事情は、首都バンコクと地方都市、地方都市と農村部、さらには個々の医療施設により大きく異なりますが、主要都市の公立基幹病院や代表的な私立病院では概ね良好です。バンコクの代表的な私立病院の医療水準はかなり高く、日本の病院と比較して遜色はありません。日本の医学部を卒業した医師、或いは日本の病院で研修経験のある医師または看護師などが勤務しています。また日本語通訳(日本人またはタイ人)が勤務し、専用窓口を設けるなど、日本人受診者の便宜を図っています。

私立病院は全て自由診療です。診察料・治療費等は、日本での窓口負担額と比べて高額になることが多いので、事前に料金等を確認するか、または海外旅行傷害保険等の保険が適用されるか確認することが必要です。保険への加入をお勧めします。

かかりやすい病気・怪我

(1)旅行者下痢症・寄生虫感染

旅行者下痢症は頻繁に見られる疾患です。多くは不衛生な食品を食べ、細菌・ウイルス・寄生虫・毒素が体内に入ることで発症します。慣れない食材や疲労が原因になることもあります。外食の際は衛生管理の行き届いた店を選ぶことが必要です。

(2)蚊媒介疾患

蚊を媒介とする疾患が複数あります。主に雨季(6月~10月)に流行が見られ、バンコクなどの都市部でも発生しています。昼間であっても長袖シャツ・長ズボンの着用、防虫スプレー使用等、蚊に刺されないようにすることが重要です。

・デング熱
急激な発熱で発症し、頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹等の症状を呈します。解熱剤の種類によっては症状悪化させるものもありますので病院受診して適切な薬剤を処方してもらって下さい。多くの場合1週間ほどで回復しますが、出血やショック症状などを伴う重症型デング熱に進展することがあります

・チクングニア熱
急激な発熱で発症し、しばしば関節痛を伴います。死亡することは稀ですが、激しい痛みが数ヶ月にわたって続き日常生活が困難になる場合があります。

・日本脳炎
突然の高熱、頭痛、嘔吐、けいれん等で発症し、意識障害や昏睡に移行する病気です。発症すると、重症化したり、死亡したりことがあります。予防接種が有効です。

・ジカ熱
軽度の発熱、発疹、結膜炎などの症状をおこします。通常これらの症状は軽く特別な治療を要しませんが、妊婦が感染すると児に小頭症が発生する確率が高くなるので注意が必要です。

(3)マラリア

夜間に吸血するハマダラカを介して感染します。10年間で発症数は著しく減少し、バンコク・チャンマイ・パタヤ等の都市部で感染する可能性はほとんどありません。2018年の発症は2,114件、死亡9名でした。感染の危険が残っているのは深南部を含む国境に接する県の郊外・森林地帯とされています。

WHOやCDC(米国疾患予防管理センター)は、カンボジアおよびミャンマーとの国境付近へ渡航する際は抗マラリア薬の予防内服を推奨しています。これらの地域を訪れる際にはあらかじめ専門医を受診し予防内服の必要性について十分相談して下さい。薬剤耐性化が進んでおりメフロキンは予防薬に適しません。近年はアーテミシニン耐性の出現が問題になっています。

(4)腸チフス

チフス菌による経口感染症です。感冒様の症状、次いで倦怠感や筋肉痛と共に発熱(高熱の場合が多い)で発症し、頭痛や発疹が出現します。重篤化するケースが多いので病院での治療が必要です。不衛生な食事による感染がほとんどです。潜伏期間が1週間以上と比較的長めなため、感染機会を特定できない場合があります。予防接種があり、一定の効果が望めます。

(5)エイズ・HIV感染症

セックスワーカーの罹患率が1994年に34%に達し、国を挙げての「100%コンドーム使用キャンペーン」の結果、2016年には1.1%まで下降しました。2017年の感染率は、献血者0.15%、妊婦0.54%、性感染症を持つ男性2.27%でした。

感染経路として最も多いのは性行為で、薬物中毒患者の注射行為に依るものも多くみられます。感染ルートについて正しく理解し、慎重かつ節度ある行動が要求されています。

(6)結核

咳やくしゃみなどによって人から人へと感染します。2018年には10万6千例の新規肺結核患者が発生したと推計され、罹患率は10万人あたり153人でした。抗結核薬による治療法が確立されていますが、時に発生する薬剤耐性結核菌の治療が課題となっています。予防にはBCGワクチン接種が有効です。

(7)インフルエンザ

通年で患者が発生しています。邦人社会では9~10 月と1~2月に流行することが多いようです。バンコクの主な私立病院でワクチン接種が可能です。

(8)狂犬病

2018年は18名が発症し死亡しました。犬だけでなく哺乳類一般から感染する可能性があります。素性のわからない哺乳類に噛まれた場合には、狂犬病ワクチンの暴露後接種が必要です。速やかに病院受診して下さい。

健康上心がけること

(1)衛生管理のしっかりした店を選ぶ
食の国タイでは安くておいしい食べ物が沢山ありますが、衛生管理のしっかりした店を選ぶことをお勧めします。
(2)気温、湿度が高いため熱中症に注意
運動時は水分・塩分を十分補給してください。また戸外では日差しが強烈なので日焼けに注意してください。降雨後は多少曇っていても紫外線は強くなります。強い紫外線を長期に浴び続けると、皮膚ガンや白内障の原因なります。
(3)室内でも乾燥に注意
エアコンの効いた室内では空気が乾燥しすぎることがあります。温、湿度をモニターすることをお勧めします。
(4)虫に刺されないように
蚊に刺されないことは言うまでもありませんが、海岸や山にはヨ、ヌカカといった吸血昆虫が生息していますので注意してください。

 

[参考] 外務省「世界の医療事情」>タイ

 

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