海外での父親の育児にはどんなサポートがあるの?
アメリカの野球・大リーグでは「パタニティ制度」というものがあり、選手がパートナーの出産に立ち会えるよう、一定期間試合の出場を回避できる制度があります。
最近ではパドレスのダルビッシュ投手や、カブスの鈴木選手がこの制度を利用したことで日本でも知られるようになりました。
このように、働くお父さんが子どもとの時間を得られるようなサポート制度は、どのようなものがあるのでしょうか?
前回までは、お母さんの育児に焦点を当ててきましたが、今回は各国のお父さんが育児するにあたって、どのような支援があるのかを調べてみました。
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スウェーデンの「パパ・ママ・クォータ」
スウェーデンでは、1995年から「パパ・ママ・クォータ」という制度が導入されています。
これは父・母それぞれに、240日間の両親手当が受給できるというものです。それぞれが240日×2人分の480日を、どちらかが完全休業することも可能ですが、
子どもの成長に合わせて部分休業を選ぶこともできます。これにより給付額のうち、一部を先延ばしにして受給することもできます。
部分休業でいうと、例えば最初の60日はお母さんが完全に休業して、お父さんはフルタイムで働きます。
60日経過後は、お母さんはフルタイムで働き始める一方、お父さんは勤務時間を部分的に減らしながらも、手当を受けることができます。以下が具体的なイメージです。
ドイツの「パパ・ママ・クォータ」は一緒に休業することも選べる
ドイツの制度は、先ほどのスウェーデンのものとは少し異なります。ドイツの場合は、両親の休業期間を別々ではなく、同一期間にすることが可能です。
また、休業中でも週30時間以内の就労は認められています。以前の制度では児童手当の引き上げや、給付期間の延長、
そして育休期間の延長などの工夫がなされてきましたが、育児をする母親の職場復帰をより難しくする結果となっていたようです。
そこで改正されたクォータ制度では、母親の職場復帰を促進し、父親の育休取得を促すものになっています。
以前の育休制度では、父親の取得率は一年で3%だったものが、現在の制度では一年で29.3%と父親の3人に1人が取得するまでとなりました。
父親の育休取得率がなんと7割!アイスランド
日本での父親の育休取得率が約5%なのに対して、アイスランドでは7割を超えています。この取得率の高さは制度にありました。
お母さんだけが育休を取る場合、最大6ヶ月までですが、お父さんも取得する場合はプラス3ヶ月取得することができます。
つまり、2人とも取得する場合は1人につき3ヶ月で、2人合わせて6ヶ月。さらなる3ヶ月は、どちらが取っても良いことになっていて、2人合わせて9ヶ月の育休期間が取得できます。
他にも、子どもが8歳になるまでの間に4ヶ月の休みを取ることも保証されています。
育休中はもちろん手当があるので経済的な不安もなく、より長い期間、子どもの成長を間近で見られます。これが父親の取得率の高さに繋がっているようです。
いかがでしたでしょうか?
この20年、各国で母親が社会復帰しやすいように制度自体を工夫して、男女とも育休を取得することで、働くお母さん・お父さんが安心して育児できる仕組みに変化させています。
育児に参加する際の保証がこれほどしっかりなされていると、どちらかに極端な偏りを生じさせずに、子どもとの時間を大切にできそうですね。
参考サイト
厚生労働省 スウェーデンのパパ・ママ・クオータ制度(1995年導入)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 父親の育児参画を促す新しい家族制作
NHK 福祉情報サイト ハートネット 特集 世界でもっとも男女平等な国(1)父親の育休取得率7割!