初めてのカンボジア生活で知っておきたい基本知識

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カンボジアの基本情報

平野、海岸、山岳などの地形豊かな国
国民の50%が30歳未満の活気と高い経済成長、貧困の現実

カンボジアは低地の平野、メコンデルタ、山岳地帯、タイ湾の海岸線など豊かな地形を持つ東南アジアの国です。一年は大きく雨季(6~10月)と乾季(11~5月)に分かれており、気温は年間を通じて高い熱帯性モンスーン気候に属しています。雨季には激しい雨が数時間降り、道路が冠水し、衛生状態も悪化します。乾季は12月から2月にかけて暑さが少し和らぎ、比較的過ごしやすくなりますが、3月から5月は最高気温が40℃近くになる猛暑が続きます。
人口は1672万人(2020年)、在留日本人数は約4,500人です。(2021年)面積は18万k㎡で日本の約半分、人口の90%がカンボジア人(クメール人)で、言語はクメール語です。国民の平均年齢は23.9歳*、国民の約半数が30歳未満(ポル・ポト政権時代の大量虐殺の影響で、40代以上の人口)。
*出典:2015年、国連人口部
特に中国からの旺盛な直接投資により、2011年以降は7%前後の高い経済成長率を記録し続けています。近年プノンペンやシェムリアップなど都市部の発展が目覚ましいものの、いまだに貧困に苦しむ人が多いのが現状です。

カンボジアが直面している4大課題

  1. 栄養不良に苦しむ子どもたちが多くいます。5歳未満児の発育阻害(年齢に見合わないほど身長が低い)率は32%にも上ります。
  2. 全人口のうち安全な水を利用できるのは79%トイレを利用できるのはわずか59%です。
  3. 十分な研修を受けた教員が不足しており、教育の質がとても低いです。小学校の修了率は男子が68%、女子が79%に過ぎません。
  4. 農村部から都市部の縫製工場や建設現場、また海外へ出稼ぎに行く親が非常に多いです。親が不在の間に、見知らぬ人、親戚、近所の人などに騙されて、人身取引や児童労働に従事させられてしまう子どもたちもいます。
    データ出典:ユニセフ世界子供白書2019

カンボジアの国民性と生活文化

敬虔な仏教徒が多い

カンボジアはカンボジア仏教を信仰している国で、約90パーセントの人々が仏教徒となっています。国民にも敬虔な仏教徒が多く生活にも仏教が根付いています。カンボジア仏教の生まれは複雑で、元々ヒンドゥー教の国家であったカンボジアに12世紀末ごろに仏教が混じり合った形となりました。そのためベースは仏教ですが、未だにヒンドゥー教の神様を祀っている仏教寺院も多いです。

家族を大切にする

カンボジア人は温和な気質の方が多く、協調性があり、家族や仲間と過ごす時間を大切にする人々が多いです。謙虚に他人を支え合う文化があり、役割分担を行い皆で助け合う姿は昭和の日本と重なる部分もあります。また、カンボジア人には親日家の方多く、日本人にもとても友好的な人が多いです。

見栄やプライドが強い

上述した謙虚な姿の一方で、カンボジア人には学歴や所得、身なりで相手の身分を判断するという一面も見受けられます。カンボジア人は見栄やプライド意識が強い国民といって良いでしょう。そういった外面的な部分が足りなければコンプレックスになるような生き辛い格差社会であるという側面がカンボジアにはあります。

カンボジア料理の特徴

カンボジア料理は多くの料理にプラホックと呼ばれる発酵した魚のペーストやカピと呼ばれるエビやアミのペーストを用います。また、魚醤やココナッツミルクも多く用いられ、魚醤は炒め物やスープに、ココナッツミルクはカレーやデザートに使われます。カンボジアの主食は米で、細長く水分が少なく香り高い品種が多いです。そのためスープと一緒にさらりと食べたり炒めたりするのに適しています。米は麺にもされ、クイティウと呼ばれる米麺も良く食べられています。また、フランスの植民地であった影響から、パンも親しまれ、フランスパンの間にピクルスやハム等を挟んだサンドイッチが特に人気のファストフードとなっています。

カンボジア人の外食文化

カンボジア人も1日3食のタイミングで食事を取るのが基本ですが、朝食は近くの市場や食堂で、昼食と夕食は家で食べることが多いようです。そのため、食堂は朝の時間が最も賑わい、夜になると閑散とした光景も見られます。日本では朝が家で食事を取り、昼や夜に外食をすることが多いですが、カンボジアでは全くの逆転状態になっています。家族と家で過ごす時間を大切にするカンボジアならではの文化です。

カンボジアのバイク文化

カンボジアでの移動手段で最もポピュラーなのがバイクです。所得がまだまだ低いため、車を買うことが出来ない家庭が多いことから、まだまだ街にはバイクが溢れています。その光景は首都プノンペンだけでなく、どの農村にいっても良く見られます。街では四方からバイクが押し寄せるため、日常を過ごす中でもその環境に慣れるまでは危険を感じるほどです。また、バイクへの3人乗り、4人乗りは当たり前で、ヘルメットをかぶる人は少数派です。またカンボジア人が乗るバイクは日本のHONDA製やYAMAHA製が良く乗られています。

 

 

カンボジアの衛生・医療事情一般

 一般的な衛生事情は日本に比べて劣悪です。医療水準も決して高くはありません。プノンペンの私立病院やクリニックでは日本と同程度の医療を受けることも可能ですが、高度な医療が必要になった場合や一部の診療科の治療は、バンコクやシンガポールで受けざるを得なくなることもあります。また、私立病院では支払保証の確認が行われますので、あらかじめ十分な額の海外旅行傷害保険に加入しておく必要があります。プノンペンとシェムリアップでは日本人医師の診療を受けることも可能ですが、それ以外の地域に外国人向けの医療機関はほとんどありません。医師は英語を解しますが、看護師や技師など他の職員との意思疎通は通常クメール語になります。

カンボジアでかかり易い病気・怪我


(1)急性胃腸炎

 細菌やウイルスに汚染された飲食物を口にすることで感染し、腹痛や下痢、発熱、嘔吐などの症状が見られます。原因により発症するまでの時間(数時間から数日)や症状は異なります。下痢がひどい場合は、脱水にならないよう水やお茶、スポーツドリンクなどで水分補給をすることが大切です。数日で回復することが多いですが、症状が重い場合や血便、発熱が認められる場合は医療機関を受診して下さい。飲食は衛生的な店を選び、生ものは避け、加熱されたものを熱いうちに食べるようにして下さい。

(2)デング熱

 蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることでデングウイルスに感染します。市街地でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季に患者が増加します。通常3~7日の潜伏期間後に突然の高熱で発症し、頭痛や関節痛、筋肉痛などの症状を伴います。現時点でお勧めできる予防接種はありません。肌の露出を避け、虫除けスプレーや蚊取り線香を使うなど蚊にさされないようにすることが唯一の予防策です。特別な治療法はなく、症状に合わせた対症療法で経過をみます。時に重症化(デング出血熱)し、生命にかかわることもあります。原因のわからない高熱が認められた場合は医療機関を受診して下さい。

(3)寄生虫症

 アメーバ赤痢やジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)が発生しています。これらの寄生虫が混入している飲食物を口にすることで感染します。発熱することは少なく、血便や下痢、腹痛、腹部不快感を生じますが、下痢や軟便だけが長期間続くこともあります。疑わしい場合は便の検査で寄生虫の有無や種類を確認して下さい。治療は必要に応じて駆虫薬を内服します。

(4)マラリア

 蚊(ハマダラカ;夜間に活動する)に刺されることでマラリア原虫に感染します。主として森林地帯や国境周辺部で発生しており、プノンペンやシェムリアップ市内で感染することはまずありません。多発する地域に滞在しない限り、予防薬の服用は不要です。潜伏期間は1~2週間(ときに1ヶ月程度)で、突然の高熱で発症します。血液検査で診断することができ、治療薬の内服(ときに点滴)が必要です。治療をせずに放置すると命に関わることもあるため、流行地滞在後に高熱が出た場合は必ず医療機関を受診して下さい。

(5)狂犬病

 カンボジアは世界有数の狂犬病発生国で、毎年800人ほどの人が亡くなっています。犬の生息数も周辺国に比べて多く、特に地方では野犬や放し飼いの犬をよく見かけます。狂犬病のウイルスは犬以外にも馬などのほ乳類やコウモリが保有しており、動物の唾液や血液が傷口などから体内に侵入することで感染します。狂犬病はいったん発症すると100%死亡する恐い病気です。予防接種(暴露前接種)はありますが、予防接種を受けたかどうかにかかわらず、もし犬などのほ乳動物に咬まれたり、引っ掻かれた場合は、24時間以内に新たに予防接種を受ける必要があります。

(6)その他の感染症

チクングニア熱
 チクングニアウイルスを保有する蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることで感染します。通常3~7日の潜伏期間後に高熱で発症し、関節痛や頭痛(眼の奥)、発疹などの症状を伴います。予防接種はありません。特別な治療もありませんが、関節痛が月単位で続くこともあるため、疑わしい症状が認められた場合は医療機関を受診して下さい。

カンボジア生活で健康上心がける事


(1)水・飲食について

 飲用にはミネラルウオーターを使用して下さい。プノンペンの上水道浄化施設は日本の支援により改善されましたが、配管や末端施設の貯水槽の管理が未だ十分とはいえないため、水道水は飲まないようにして下さい。
外食する際は衛生的な店を選び、火の通ったものを熱いうちに食べるようにして下さい。屋台では概して食材や食器、調理後の管理、調理人の衛生観念に問題があるため、なるべく利用は避けて下さい。氷も口にしないようにして下さい。魚介類は細菌やウイルスのほか寄生虫感染の危険もあるため、生食は避けて下さい。食物を扱っているところではネズミやゴキブリなどの害虫も数多く発生しています。外食には諸々のリスクを伴うため十分注意を払って下さい。

(2)暑さ・紫外線対策
 一年を通して気温と湿度が高く、熱中症や脱水症になりやすいため、暑さが厳しい時は無理をせず、こまめに水分補給をして下さい。日差しも強いため、屋外では帽子を着用し、日焼け止めを使うなどの紫外線対策も心掛けて下さい。

(3)蚊対策
 デング熱やマラリアなど多くの熱帯病は蚊に刺されることで感染します。長袖長ズボンを着用して肌の露出を減らし、虫除けスプレーや蚊取り線香を使用するなどの対策をとって下さい。

(4)医薬品
 日本でよく使われている薬(ロキソニン等)も当地では入手できないことがあります。慢性疾患や常用薬がある場合は、滞在期間に合わせて日本から必要な薬を持参して下さい。薬局で購入する際は、保管状態の悪い薬や偽薬を避けるため、病院内あるいは利用客の多い大手の薬局を利用するようにして下さい。

外務省 > 世界の医療事情 > カンボジア(プノンペン)

World Vision : 3分でわかるカンボジア ~カンボジアって、どんな国?~

参考 習慣や文化の違いはあるの?知っておくべきカンボジア文化とは

 

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