【医師監修】太らないお酒の飲み方は? ビール2缶でメタボリスクが1.42倍!

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日本では忘年会、新年会のシーズンの到来です。お酒好きの人からは、この時期「お酒の量が増えて太ってしまう」という話をよく聞きます。以前は「お酒のカロリーでは太らない」とも言われていましたが、世界の肥満に関する研究では、少量の飲酒でも体重増加につながるという報告もあります。飲酒のリスクを正しく理解して、楽しく飲むコツを探ってみました。

ビール2缶で1.42倍のリスクがある!

先述の研究では、1日当たり缶ビール(355ml)半分以上のアルコール摂取で、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まるという結果が報告されています。1日当たりビール半~1缶分のアルコールを摂る男性は、非飲酒者と比べて肥満やメタボのリスクが1.1倍でした。1~2缶分では肥満1.22倍、メタボ1.25倍、2缶分以上では肥満1.34倍、メタボ1.42倍のリスクがあるそうです。

お酒で太るメカニズムは複雑で、アルコールが直接の原因になるほか、酒類に含まれる糖質やおつまみが原因となる場合と、それぞれが関与し合っています。お酒に含まれる純アルコールのカロリーは、1gあたり7.1kcalです。一般に糖質やタンパク質は4kcal/g、脂質は9kcal/gなので、なかなかの高カロリーです。しかし、このうち約70%は代謝で消費されるので、アルコールは体に蓄積されない「エンプティーカロリー」と言われ、脂質や糖質と比較すると、アルコール自体には栄養素がないために、体重増加作用が少ないと考えられています。

そのため、アルコールだけなら太りそうもありませんが、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒には、糖質やたんぱく質なども含まれています。食品成分データベース(文部科学省)によると、ビール1缶(355ml)にはアルコールが14g、糖質が11~12g含まれ、エネルギーは150kcal前後、ワインだと小グラス1杯(118ml)で90~100kcal、日本酒1合が200kcal近くです。コンビニのおにぎりは1個当たり170~180kcalのため、ビール1缶、日本酒1合、ワイン2杯と同程度になり、やはり大量に飲むと肥満リスクが高いといえます。

最近人気の「糖質ゼロ」にも注意が必要!

糖質の摂り過ぎは肥満や病気の原因になるため、ビールや日本酒などの糖質の高いアルコールには注意が必要です。糖質を摂取すると血糖値が上がり、それを抑えるホルモンのインスリンが分泌されます。インスリンは、血中に存在する余った糖を脂肪に変化させて蓄えてしまう働きがあります。
焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は糖質0gで、カロリーはアルコール由来のみですが、アルコール度数が高いので「割もの」の選び方がポイントになります。水割り、お茶割り、ハイボールなどは太りにくいですが、甘みのついた炭酸やジュースで割ると糖質が高くなってしまいます。

最近人気の「糖質ゼロ」のアルコール飲料にも注意が必要です。蒸留酒もそうですが、飲んでも血糖値が上がらないので空腹感が解消されません。さらに、糖質ゼロのアルコール飲料の多くには、天然甘味料のステビアや、人工甘味料のスクラロース、アセスルファムK、アスパルテームなどの甘味料が使われています。甘味料が厄介なのは、カロリーゼロなのに甘みを感じてインスリン分泌を促進するホルモンの値を高める可能性があります。

インスリンの分泌量が増えれば、結果として血糖値が下がって空腹感を覚えるので、何か余計に食べたりしてしまうリスクがあるのです。甘みを感じた時点で脳は糖質を期待するのに、甘味料では血糖値は高まりません。そのため脳や体が混乱し、糖代謝に異常をきたす可能性があります。つまりインスリンの作用が低下し、高血糖状態が続いて太る危険性があります。また、カロリーゼロの甘味料は、腸内フローラに影響を与えて炎症を引き起こし、それがインスリンの作用の低下につながることも分かってきています。

高たんぱくで脂質と糖質の少ないおつまみを!

お酒を飲むと太るのは、お酒より食事やおつまみによるものという話もよく聞きます。アルコールを摂取すると、胃液の分泌量が増え食欲が増えます。さらに、肝臓がアルコールの分解に追われるので、脳がいつまでも低血糖だと勘違いし食欲が増進するのです。肥満のリスクを上げないためにも、お酒と一緒に食べるおつまみは、太りにくいものを選びましょう。

フライドポテトや唐揚げ、ピザなどの糖質と脂質の多いおつまみではなく、野菜や漬物、きのこや海藻などの低カロリー料理、糖質の少ないナッツ類、刺身や冷やっこなどの糖質が少なく、タンパク質が多いおつまみがおすすめです。特に枝豆は、糖質を燃焼しやすくするビタミンB1と、脂肪を燃焼させるビタミンB2も含まれ、食物繊維とたんぱく質も豊富なので、体重を気にしている人のおつまみに最適です。

ダイエット中の人は、お酒を飲みすぎないためにも、お水やお茶などを一緒に飲みましょう。お酒と同量の水分を摂取することで、血液中のアルコールが薄まります。そのため酔っ払いにくくなり、アルコール量や食事量をセーブできるようになります。

デメリットばかり書きましたが、飲酒にはストレス発散やリラックス効果、コミュニケーションを促進するなどのメリットもあります。上手に肥満やメタボリスクを回避して、楽しく飲みようにしましょう。
アルコール依存症になっているかも、なんだか調子が悪いなど気になることがある方は、ヨクミルでご相談ください。

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監修者プロフィール
相談科:
  • 耳鼻咽喉科
専門領域:
  • 耳鼻咽喉科
野田のだ 一郎いちろう先生
耳鼻咽喉科専門医。 福井医科大学(現福井大学医学部)卒業。 海外に赴任した患者さんから海外医療に関する不安を多数聞いて、「インターネット上で相談することで、不安を解消できるのではないか」と思いつき、YOKUMIRUシステムを共同開発した。自身も留学経験があるため、海外在住邦人の不安に寄り添い、親身になって相談に乗ってくれると定評がある。
著者アイコン 著者プロフィール
中野なかの 紗瑛さえ
文具メーカーでプロダクトマネージャーを担当後、システム開発販売会社で販売促進やイベント企画を経験。その後、フリーのプランナー・コピーライターとして、商品企画と販売促進全般、店舗、経営者、政治家、医者などの取材、ライティングを数多く手がける。2021年より、YOKUMIRU株式会社のブランディングマネージャーに就任。医療、健康、美容、飲食系のライティングを得意としている。
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